バローズ映画/DVD

ランド・オブ・ザ・ロスト
The Land That Time Forgot (2009)


ロストワールド?!タイムスリップ?!息をもつかせぬサバイバル・アクション!
世界的SF冒険小説『時に忘れられた世界』(エドガー・ライス・バローズ著)を映像化!!

要目
発売・販売:アルバトロス株式会社
ALBSD-1272 89min 片面・1層ディスク
MPEG-2 COLOR 2009年 アメリカ

キャスト
フロスト (小杉十郎太) …… C・トーマス・ハウエル 「アウトサイダー」
バローズ船長 (麦人) …… ティモシー・ボトムズ 「エレファント」
リンジー (斉藤梨絵) …… リンゼイ・マッケオン 「ヴェロニカ・マーズ」
カレン (日野由利加) …… アンヤ・ベントン
ロンゾ (黒澤剛史) …… スティーブン・ブラックハート
スタッフ
監督 …… C・トーマス・ハウエル
原作 …… エドガー・ライス・バローズ
脚本 …… ダーレン・ダルトン
撮影 …… マーク・アトキンス
編集 …… ブライアン・ブリンクマン
音楽 …… クリス・ライデンハウア
製作 …… デヴィッド・マイケル・ラット
製作総指揮 …… デヴィッド・リマウィー

コメント
 『火星のプリンセス』の映画化がついに具体的に動き出したと話題になっていたころ、2つの事件が起こった。そのひとつが、この The Land That Time Forgot 『時に忘れられた世界』の映画化だったわけだけど…。邦題が『ランド・オブ・ザ・ロスト』。『火星のプリンセス』の映画情報をググっていて、ぐうぜん目にしたバローズ原作の映画、という文字を見て、『時に忘れられた世界』だ、とは思いました。だって、ランドとロストがある。しかも、『時に忘れられた世界』には『恐竜の島』の邦題で映画化の実績もあったから、再映画化されたとしてもおかしくはない。しかし…
 "Land of the Lost"であらためてググると、出てくるタイトルは『マーシャル博士の恐竜ランド』という、バローズとは関係ない映画。なんでも、70年代にアメリカで放映されていたTVシリーズのタイトルが"Land of the Lost" で、日本では放映されていなかったせいかどうかわからないけど、邦題を少しは分かりやすい『マーシャル博士の恐竜ランド』に変えたみたい。で、同じころ映画化された"The Land That time forgot" が、こちらは『恐竜の島』も『時に忘れられた世界』もダサいと思ったか、『ランド・オブ・ザ・ロスト』が少しは知名度があると思ったのか、便乗して名前を変えたという…ややこしい。
 ともあれ、『時に忘れられた世界』といえば、人気は別にして専門家の評価では〈月シリーズ〉と並ぶSF作家としてのバローズの代表作のひとつだ。最初に原作を読んだとき、進化をテーマに思索を積み重ねて描かれた世界の行き着いた先に驚嘆したものだ。70年代の映画は怪獣映画のような作りだったが、21世紀の技術で再映画化ならそれなりに迫力ある映像でいいものになるのではと期待もしたが…
 結果を言えば、どうしてこうなったかな、という感じ。製作者が原作をリスペクトしているのはわからないでもない。バローズ船長、などという登場人物も出てくるし。そして、ドイツ軍のUボートとか、見つけた原油を精製して燃料を取り出したりとか、原作から持ってきたエピソードも多い。恐竜も、怪獣もどきではなくしっかり恐竜の造形で作られている。現代の観客の視点を引き込むため現代人がタイムスリップでその不思議な世界に迷い込むというのも、まあいいだろう。しかし…どうして、これだけSFの小道具を使いながら原作のもっともSFな部分を排除しちゃったんだろう。ホント不思議。
 原作がSFとして優れているのは、恐竜でも科学技術でもなく、生命進化を一生のうちに再現する生命体というアイディアであり、さらにその進化の末はなんなのか、その中にある知性ある人間の苦悩、といったものが正面から描写されているところにある。なのに、その肝心なところを排除してしまって、表面的ないくつかのアイディアだけを借用して映画にしてしまったのは、制作側の大チョンボと言わざるを得ない。
 映画としては恐竜とUボートのような大きくて絵になる派手なものが魅力的なのはわかるけどね…せっかく原作を意識した映画なら、一番のエッセンスを使ってほしかったなと、ファンならば思っちゃうってところです。

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