その他の世界

痛快純情熱血絵物語

だいご てんぺい
大吾天平

〈木枯らしとチャルメラ編〉

宇田野武:作/集英社 おもしろブック


story/あらすじ

醍醐天平は戦災孤児です。生まれてまもない妹と二人、この田舎町の、武蔵という親戚のおじいさんに育てられてきました
天平は決して幸せではありませんが、年とったおじいさんと、病気がちな妹を愛しながら、いろいろと、むずかしい出来事にぶつかっても、ひるまず、がんばっていきます。強く、正しく、たたかう天平を声援してください。

comment/コメント

おもしろブックに掲載された、宇田野武名義の絵物語の1冊。
詳細はこちらのほうがくわしいです。わたしが知っていることととしては、終戦後、結婚して上京するまで京都に住んでいたころ、街頭紙芝居や絵物語などを書いていたということだけです。ちなみに、宇田野は当時家族で住んでいた京都の地名、宇多野からとったものとのこと。

生真面目な柔道少年が主人公のこのお話、絵を見ると武部さんだな、とわかります。ただ、表紙のサインは「T.Uta」とあるので、やはりこれは画家・武部本一郎ではなく、紙芝居作家、あるいは絵物語作家の宇田野武の作品というべきでしょう。
物語部分はだれが書いたのか、武部自身なのかどうかなどは、他の詳しい方にお願いするしかありませんが、本編の特徴としては、絵物語としては絵の割合が非常に高く、地の文はナレーション程度、さらに大半を占める絵の登場人物のせりふは吹き出しで処理されています。
つまり、限りなくマンガに近いのです。
武部画伯とマンガの接点といえば、城青児名義で手塚治虫の『化石島』に協力している(合作と言っていいほどのものかどうかはわからないが)ことが知られている。
マンガ家(それも手塚治虫!)と交流があったことは間違いないようで、影響を受けた可能性も否定できないのではないかと思う。

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