2001年制作
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小学生のころ、実はバローズよりハガードが好きだった。親に買ってもらった名作全集に、子供向けにリライトしたものが収録されていたのだった…ちなみに、挿絵は武部本一郎画伯だった! バローズより、と書いたけど、同じ全集にターザンもあって、面白いとは思ったけど、ゴシックロマンというか、断然『洞窟の女王』のほうがスケールも大きいし、ドラマチックだし、ロマンチックで、いいと思ったのだ。
で、中学生になって、バローズに夢中になったころ、同じ創元推理文庫に『洞窟の女王』を見つけ、その表紙・口絵・挿絵にもひかれて買ったのを思い出す…もちろん、口絵がよかったんだよ、中学生だったからね。いや、銀河辺境シリーズの表紙にも負けない、といえばわかって…もらえない? ともかく、原作はバローズより古い時代の名作で、構成は初期のバローズ作品に踏襲されているし、主人公たちの設定はぺるしだーに反映されている。鏡明さんのエッセイによれば、バローズが数々の仕事に失敗して暇な電話番のような仕事をしていたころ、安いパルプだかダイムノベルだかにこの『洞窟の女王』が採録されて世間の評判になっていて、バローズはこのころパルプ紙を買って「これなら自分のほうがうまくかける」とばかりに書いたのが『火星のプリンセス』の原型になった作品らしいということだから、因縁浅からぬ作品なのだ。
それで、この映画だ。この19世紀の香りのするゴシックロマン、どう思って21世紀に映画化したのかはわからないが、レオは軽いナンパ男で、アッシャは美人だけどなんだか叶姉妹の親せき、って感じ。ほか、例によって戦う美女とか、レオとのベッドシーンとか、もうやめてくれ、って感じ。なんでこんなに、軽量な作品にしちゃうのかわからない。まあ、見たくなるかもしれないけど、見ないほうが幸せな映画って、あるんですよ。