Illustrated by Mieko Mitani
白木茂:文/三谷美枝子:画/白木茂:解説 集英社/マーガレット文庫 世界の名作 30/1976/180頁
みなさんへ
白木 茂
この物語は、とてもかわっています。アメリカのジョン・カーター青年が、超能力で、火星へいくことができます。そこで、みなさんが、とてもそうぞうもできないような、ふしぎな目にあいます。
火星には、緑色人、赤色人の火星人がいて、おたがいにあらそっていますが、カーター青年は、地球人とあまりかわらない、赤色人で、とりこになっている王女ソリスを、てきの手からたすけだし、むねのすくような、だいかつやくをします。
ところが、火星じゅうのくうきをつくっている、くうきせいぞうこうじょうに、だいじけんがおこり、火星はほろびてしまいそうになります。カーターと王女は、どうなるのでしょう?
history/初出
Under the Moon of Mars,Feb.1912,All Story Magazine(penname:Norman Bean)
A Princess of Mars,1917,
comment/コメント
すでにいろいろな方々に紹介いただいている集英社マーガレット文庫版を、ついに入手出来たのでご紹介する。王女と書いてプリンセスとルビが振ってるのは発見だった。
集英社のマーガレット文庫というのは、いわゆる児童向け名作叢書なのだけれども、特に少女を意識した選定がなされた叢書で、赤毛のアン、少女パレアナ、アルプスの少女、ひみつの花園、若草物語…と古典的少女小説がずらりとラインナップされる中、どういうわけかこの『火星の王女 』が混ざっているのだ。
文や解説を書いた白木茂氏の悪趣味だと思うが(笑)、挿絵を含め数十葉を描いた三谷美枝子さんにとりあえず拍手を送っておく。
金髪王子キャラの」ジョン・カーター、清楚系黒髪ロングのデジャー・ソリスだけでも笑いたくなるが、執事系タルカス、もじゃ髪幼女のソラ、陰険老婆のサルコジャなど、もうとてつもない想像力というか、編集者も何のチェックもしてないだろう(笑) 他に類を見ないバローズ画ではある(笑)。
カラーイラストだけでも追って紹介したいと思っているので、乞うご期待。
三谷さんはよく知らないが、少女漫画雑誌である少女コミックの創刊号に作品を掲載しているので、最初期の小学館の少女漫画家のひとり、というところだろうか。
昭和22年生まれとのことなのでいわゆる24年組の少し先輩、主に幼年誌に描いていた漫画家のようだ。
集英社は小学館の子会社なので、小学生女児向け叢書の画家として白羽の矢が立ってしまったのだろう。
おそらくSFファンではないが、なんか頑張って描いている。