バローズ世界の文化 Culture of ERB Worlds

火星の第8光線
Barsoomian Eighth Ray


 バルスーム人がよく利用する飛行艇はバルスームの第8光線を浮力源として利用している。その特性から推進光線とも呼ばれているこの光線は、飛行艇の内部の空間に蓄えられている。第8、とは赤橙黄緑青藍紫の7つの光線のどれとも異なる、というところからのネーミングだろうが、その正体はこれら7つの光線とはまったく異なる。むしろ、これらの光線に作用する一種の力場を構成する現象体を現している。すなわち、光を光たらしめる存在なのである。
 詳しく説明しよう。あらゆる光は推進する。ここに作用するのが、第8光線である。そして第8光線は個々の恒星、惑星によって異なる。つまり、太陽の光が惑星に届くのは太陽の第8光線の作用によるが、惑星に反射して再び宇宙に送り出される光に作用するのはその惑星の第8光線なのである。太陽の第8光線は他の7つの光線と同様、惑星の表面に吸収されるが、火星の光は火星より間断なく放射される火星の第8光線の作用によって引力に対して反撥するエネルギーを得、宇宙空間に放出されている。この第8光線を取り出し、圧縮することができれば、光だけではなく、質量を持った物体をも重力から解き放つことができるわけである。これが、第8光線による火星飛行艇推進の原理だ。
 この光線は地球では知られていないとされているが、実はそうではない。質量とエネルギーの等化式として知られるE=mc2は余りにも有名な式だが、その意はエネルギーは質量とそれに作用する光速とに分けることができることを意味しており、まさしく第8光線の解説に他ならないのだ。つまり、地球でも第8光線の作用自体は発見されているのだが、残念ながらそれが第8光線であるとは理解されておらず、そのために有効な活用がなされていない。原子力のような原始的な(しゃれではない)応用しかできていないため、インドやパキスタンの核実験のようなくだらない行為につながり、それがために研究開発が阻害されてますます第8光線から遠ざかる。この悪循環によって、火星と地球の科学力の決定的な差は縮まることがないのである。


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