JOHN CARTER
ディズニー提供/2012年アメリカ映画/2012年日本公開作品
上映時間2時間13分/ドルビーSRD/シネスコサイズ
日本語字幕翻訳:大森務
ノベライズ:竹書房 ジュニア・ノベル:偕成社刊
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
CONTENTS
その惑星は、救いを求めていた。
1881年、ニューヨーク。エドガー・ライス・バローズ(ダリル・サバラ)は、人づき合いを絶って暮らす叔父ジョン・カーター(テイラー・キッチュ)から「すぐに来てくれ」という電報を受け取る。しかし、叔父の家に駆けつけた時、彼は既に亡くなっていた。エドガーに遺されたものは、多額の遺産と一冊の日記。その日記には、驚くべき内容が記されていた……。
その男は、希望を求めていた。
遡ること13年前の1868年。南北戦争に軍人として従事したジョン・カーターは、ある辛い出来事から戦いを憎み、空虚な心を抱えて、アリゾナを彷徨っていた。騎兵隊のパウエル大佐(ブライアン・クランストン)から協力を要請されるも不遜な態度ではねつけ、投獄されると強靭な意志で脱獄を果たす。荒野でネイティブ・アメリカンたちに襲撃されて逃げ込んだ洞窟には、無数の蜘蛛が彫られ天井には金がはめ込まれていた。そこでカーターは、突然襲いかかってきた男を銃でかわす。倒れた男が呪文を唱えたその時、メダリオンを掴んだカーターは、未知なる惑星バルスームヘと瞬間移動してしまった。
意識が戻ったカーターは、荒涼たる砂漠に倒れていた。起き上がろうとした彼は、自分が空高く跳躍出来ることに気づく。いったいどこにいるのかもわからぬまま、この異世界の重力に身体を慣らし、あてもなく歩き始めたカーターは、半透明のドームの中に、たくさんの卵を発見する。卵は次々と孵化し、緑色の赤ん坊が生まれ出る。驚くカーターの前に、緑色の身体に牙と4本腕を備え身長3メートルはあろうかという<サーク族>が現れた。
カーターを撃とうとする戦士たちを止め、<サーク族>のひとりが近づいてくる。彼は、カーターの驚異のジャンプに興味を惹かれた<サーク族>の皇帝タルス・タルカス(ウィレム・デフオー)だった。隙を見て攻撃しようとしたカーターは、捕らえられ、砂漠の民<サーク族>の街に連行されてしまう。
カーターは地下に幽閉された。孵化した赤ん坊たちの世話と一緒に彼の世話をも命じられたのは、ソラ(サマンサ・モートン)という女性。彼女は、強さにしか価値をは出さぬ<サーク族>の中では稀有な優しい心を持つ異分子だった。
カーターは見張り役の犬(キャロット)、ウーラの目を盗み、驚異のジャンプで脱走を試みる。だがウーラが複数の<サーク族>に激しく殴られるのを見た時、カーターは我を忘れて飛び出し、そのひとりを一撃で倒してしまう。彼は、今までとは明らかに異なる自らのパワーに驚く。
カーターは再び捕らえられ、世話係のソうは責任を取らされて新たな焼印を押された。苦痛に耐える彼女の姿を見て、カーターは初めて心を痛めるのだった。
その時、彼らの頭上に飛行艇群が現れ、激しい空中戦が勃発した。<ゾダンガ>王国とその侵略を阻もうとする<へリウム>王国の闘い。惑星バルスームでは、赤色人同士の2国が壮絶な闘いを絞り広げていた。<ゾダンガ>の皇帝サブ・サン(ドミニク・ウェスト)が、ある日突如として謎の存在から青い光のパワーを与えられてから、<ヘリウム>は滅亡の危機にあった。
サブ・サンは、青い光を駆使し欠々と敵を撃破していく。そんな彼を勇敢にも攻撃していた飛行艇から、人間の姿をしたひとりの戦士が落下した。カーターは空高く跳躍し、戦士を受け止め、飛行艇に飛び移るや<ゾダンガ>軍を撃破する。<サーク族>の銃も<ゾダンガ>の飛行艇に向けて火を噴く。サブ・サンの飛行艇はいつの間にか消え去った。
カーターが助けた戦士は、漆黒の髪をなびかせた美しい<ヘリウム>人だった。彼女、デジャー・ソリス(リン・コリンズ)は<サーク族>の捕虜となった。驚異の活躍を見せたカーターは、タルカスから“ドタール・ソジャッ卜(皇帝の右腕)”の称号を与えられ、闘いを憎むがゆえに一旦はそれを拒むが、「お前の安全のためだ」と言うタルカスの気持ちを受け入れて、称号を受けるのだった。
カーターは、自分が地球から来たことをデジャーに告白する。伝説のメダリオンがその奇跡に関わっていると知ったデジャーは、禁断の寺院に秘密が隠されているのだと告げ、世話係のソラが止めるのも聞かずにカーターと共に忍び込む。
しかし、彼らの行動は、残忍な戦士タル・ハジュス(トーマス・ヘイデン・チャーチ)と通じる侍女サルコジャ(ポリー・ウォーカー)によって目撃されていた。彼らに捕らわれ、刃を突きつけられるカーターたち。その時、思わぬ救いが現れた。皇帝タルス・タルカス自らが、タル・ハジュスたちを欺き、カーターとデジャーを、カーターに忠誠を尽くすウーラと共に密かに逃がしてくれたのだ。カーターが寺院に忍び込んだ責任を取らされ今や処刑されるかもしれないソラを共に連れて行くことを条件にして……。そしてタルカスは、カーターにメダリオンを渡した。
ソラは、実はタルカスの娘。タルカスは、愛や親子関係など存在せぬ一族にありながら、誰にもその関係を知られることなく、娘であるソラをずっと傍に置いていた。ソラもこの事実を知らない。
彼らは荒野を抜け、聖なる門を目指してイス河を下る。だがデジャーの真の目的地はそこではない。デジャー・ソリスの本当の姿は、<ヘリウム>王国の王女だった。彼女の願いは、<ヘリウム>を守り抜くということ。停戦の交換条件として<ゾダンガ>の皇帝サブ・サンから求婚されていたが、それに従うつもりはない。デジャーは、驚異の力を持つカーターに、<ヘリウム>の危機を助けて欲しいと求める。だが地球への帰還を願うカーターには、<ヘリウム>の救世主となる気などなかった。
3人はイス河を下り続け、奇妙な建物に辿り着く。メダリオンの不思議なパワーでその内部へと侵入したカーターとデジャーは、バルスームの秘密を知る。そこには無限のエネルギー、青い第9光線が隠されていた。そして、カーターの肉体は地球にあり、バルスームでのカーターはコピーのような存在であることも知る。
だが、河に出た彼らを侍っていたのは、謎の存在が操る凶暴な生き物・ワフーンの大群の襲来だった。デジャーの命が危機にさらされた今、カーターの心で何かが動いた。嫌がるデジャーをソラに預けて先に行かせ、カーターは踏みとどまる。カーターの胸に去来するのは、かつて救えなかった妻と子の姿。あの日、南北戦争で栄光を得て故郷に戻ると、愛する妻子は戦火に命を失っていた。―─家族を守れなかった無力な自分に怒りをぶつけるように、彼は剣をふるい、宙を飛び、超人的な闘いを続ける……。
その時、上空に<ヘリウム>の飛行艇が現れた。乗っていたのは<ヘリウム>の皇帝タルドス・モルス(キーラン・ハインズ)。そして、なんと<ゾダンガ>の皇帝サブ・サン。モルスは国を守るため娘デジャーを結婚させるという苦渋の決断をしていた。ソラとウーラを置いて、デジャーとカーターは<ゾダンガ>に連れられていく。
バルスームの景観を見下ろす移動都市。デジャーはサブ・サンとの結婚を決意し、地球への帰還のために必要なメダリオンの秘密をカーターに伝えるのだった。彼はデジャーの想いを感じながらも、ここに残って闘うと宣言出来ずに苦悩する。
そんなカーターの前にサブ・サンの背後に潜む壮大なる謎の存在が露わになる。それは、宇宙で最も進化した存在である<サーン族>の教皇マタイ・シャン(マーク・ストロング)。サブ・サンに無限の光の武器を与えて操り、<ヘリウム>を崩壊させたのは彼だった。彼らは太古から宇宙を行き来し、様々な惑星の歴史を操っていた。アリゾナの洞窟に現れた男も<サーン族>のひとりだった。マタイ・シャンは、全宇宙をも支配下に置きつつあった。
今やバルスームは存亡の危機に瀕していた。カーターの中に、二度と愛する者を失いたくないという強い気持ちが芽生える。
だが、その頃、カーターが頼るべき<サーク族>の勇者タルス・タルカスは、残忍な戦士タル・ハジュスに皇帝の座を奪われていた……。
果たしてカーターとバルスームの運命は? そして、なぜ彼は甥のエドガーに日記を遺したのか?
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ディズニー映画版『ジョン・カーター』のパンフレット。昔と違って、最近のパンフはおしゃれです。表表紙も裏表紙も、日本語がいっこもないし。内容は、結構充実しています。上に紹介したのはあらすじ部の収録ですが、ほか、登場人物へのインタビュー、日本の各専門分野の評論家たちの解説など。原作目線で登場は大森望さん。うーん、大森さんなら仕方ないか。変な人だったら続編は俺に書かせろと訴えるところでしたね…。総じて、700円なら安かったかも。