ERB評論集 Criticsisms for ERB


十億年の宴 SF―その起源と発達
Billion Year Spree - The History of Science Fiction


ブライアン・オールディス 著/浅倉久志・ほか 訳/浅倉久志 解説/東京創元社/KEY lIBRARY/1980.10.31初版/377頁


story/あらすじ

いまやSF界にとどまらずイギリス文学界を代表する作家、評論家のひとりとなったブライアン・オールディスが豊富な知識と優れた見識の限りをつくして書きあげた、最初の最良のSF史。『フランケンシュタイン』にその起点をおき、厖大な資料をもとに、ゴシック・ロマン以降、ポオ、ウェルズ、ガーンズバック、バローズ、キャンベルを経て現代に至るSFの起源と、今世紀における一つのジャンルとしてのSFの台頭の歴史を詳しく解き明かす。アカデミックな研究書としても申し分のない充実度をもちながら、オールディス一流の語り口を得て、読み物としても充分楽しめる。SFファンのみならず近代、現代英米文学ファン必携の書。
「オールディスは、卓越した文芸評論家であることを、みずから証明した。……SFとは何かを知りたい人にも、すでに知っていると思っている人にも、ひとしく推薦したい」
――キングズリー・エイミス

chapters/もくじ

  1. 種の起源
    メアリー・シェリー
  2. 透徹した、病的な文学
    エドガー・アラン・ポオ
  3. ピルグリム・ファーザーズ
    ルキアノスその他
  4. ガス燈に照らされた人々
    ヴィクトリア朝の夢想(ヴィジョン)
  5. 奇跡を起こせる男
    H・G・ウェルズ
  6. 都市文化からの逃避
    ウェルズの同時代人たち
  7. バルスームとそのかなたへ
    ERBと変わり者たち
  8. 時代精神(ツァイストガイスト)の名において
    おもに30年代
  9. 欠け皿の上の未来
    ジョン・W・キャンベル・ジュニアの〈アスタウンディング〉誌の世界
  10. 不可能なことが起きたあと
    50年代、そして前進と上昇
  11. わが赴くは星の群れ
    昨日と今日

history/初出

"Billion Year Spree - The History of Science Fiction" by Brian W.Aldiss 1973

comment/コメント

最初のSF史本とのことだが、本HPで取り上げる理由はただ一つ、バローズに1章を割いていることである。H・G・ウェルズよりバローズの方がおもしろいのに、ウェルズがありがたがられるのはなぜか? といった部分は、バローズ・ファンならずとも意表をつかれるところだろう。驚嘆することを教えてくれる作家としてバローズを規定した論調は、納得できるものだ。一読の価値あり

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