11 Nov.2001
2001年11月9日、アクセスカウンタが100000を超えた。
十万だよ、じゅうまん。なんとなく、感動してしまう。
1996年11月5日がカウンタ開始日だから、ほぼまる5年での達成ということになる。「5周年おめでとう」のメッセージを多くいただいて、それに返事もできないでいるうちにいってしまったわけだ。5年のほうはだらだらとつづけてきた結果ともいえるが、10万はこれはもうみなさんの支援の蓄積であるわけなので、素直に感謝したい。ありがとう、と。
5年半ほど前だろうか、久しぶりにあったかつてのSFサークルの友人にインターネットをはじめたよ、と聞かされ、また会社の同僚のパソコンマニアにホームページをつくってみた、と教えられ、少し興味を持った。
その数ヶ月前にWindowsパソコンを買ったばかりだった。モデムがついていたので、とりあえずIDが残っていたニフティなどからオンライン・ソフトをダウンロードしたりはしていたが、インターネットはどうすればいいのか見当もつかなかったのだが、教えてもらって、ようやくつなげることができた。
さて、インターネットにつないで最初にすることはなんだろう? 最近、お祝いメッセージをいただいた中に、「まずバローズを検索した」というかたが多かったことに驚いてもいるのだけれど、実はわたしもご多分に漏れず、まず検索サイトからなにかないかと捜しはじめたのだった。が、まだヤフーの日本語版もなく、使い物になるロボット型サーチエンジンもなかったから、ヒットするものの少ないこと。仕方なく、アメリカのyahoo.comにいき、ふとおもいついた単語を入力してみた。
burroughs
いや、スペルを忘れてたので、本をひっくり返して入力したんだよ。すぐにいくつかの項目があらわれた。バローズ・ビブリオファイルが見つかるかなと思ったら、まさしくそのとおり。tarzan.comは、バローズのビブリオファイルそのものだった。
このサイト、今はなくなってしまい、おなじURLからはディズニーのサイトに飛んでしまうが(ドメインが売られたんだろうと思うが)、これは非常に残念なことだ。バローズの作品をジャンルごとにわけ、さらに個々の作品について主な表紙絵、出版史、あらすじ、コメントなどを紹介しているほか、ほかにもバローズのエッセイの採録や著作リスト、評論など、かなり充実した内容だった。
そう、わたしは作家のファン・サイトとはこんな感じにつくるんだと思いこんで、現在のサイトを構築していったのだ。これは大いなる勘違いだったが、実は幸せな勘違いでもあったかもしれない。膨大な仕事量だったがだいたいの構成は見えていたし、好きな作家のことだからつらくはない。その間にどんどんはまっていき、徐々に情報量は増えてもいったわけだ。
はなしを少し戻す。
インターネットをはじめてしばらくで、その可能性は感じた。まず、パソコン通信と違ってきわめてオープンな環境だということに関心を持った。パソコン通信ではつまらないいざこざも経験していたので、その閉鎖的な環境には嫌気も感じていたのだが、インターネットは違うと思った。そして、もうひとつ、個人で発信できるメディアとして画期的なものだということにより興味を持った。
他のメディア、出版や通信(テレビ、ラジオなど)では発信者の資本力などの差が非常に大きい。大手出版社の本はコンビニでも買えるが、創元SF文庫は郊外の大型書店でさえ新刊もないこともある。個人レベルの同人誌などに至っては、特殊な趣味の集まりなどでなければ見ることさえかなわない。放送なども、そうだ。資本の違いはすなわちそれを見たり聞いたりすることができる人たちの数の違いでもある。
インターネットは違った。パソコンの進歩によって表現力はそれら旧来のメディアに遜色がないが(制限があったり逆に特長もあるが、大まかには決して負けていないと思う)、その見やすさ、誤解を避ける表現に改めるならば情報の手に入れ易さは、大資本のホームページも、ホワイトハウスやNASAも、わたしのつくっているホームページも、みな横一線なのだ。世界中どこからでも、いつでも、同時に、だれでも、見ることができる。それも、インターネットにつなげるひとなら誰でもその気になればホームページを公開できるのだ。この垣根の低さに、これはすごいぞ、とかつて同人誌をつくったこともある心が揺さぶられたわけだ。
「ホームページの作り方」というそのまんまのタイトルの本を買ってきたが、すぐに放り出した。こんなものでがんばろうという気になるほど、わたしはパソコン・マニアではない。オンラインソフトで作成ソフトがあると聞いて興味を持ったところへ、ワープロ・ソフト「一太郎」のおまけに「IBMホームページ・ビルダー」がついていることを知った。
当時からわたしは一太郎の正規ユーザ(プリインストールされていた)だったが、アップグレード版にはこのおまけは付いていなかったので、知らなかったのだ。市販ソフトのほうが機能は充実しているかと思い、なんとか入手して起動した直後、これは使える、と感じた。V1.2だったから、今から見ると機能も貧弱で処理も遅かったのだが、当時のわたしには十分だった。
マニュアルはなかったので市販本を買ってくると、フリーウェアのFTPソフトがついていた。これで完璧! 2週間くらいして、最初のホームページが立ち上がった。「ホームページビルダー」は使えるということがわかったあと、結局私費で購入して正規ユーザになったことを、つけ加えておく。
ホームページのタイトルは、「エドガー・ライス・バローズの幻想冒険世界へようこそ」。現在のタイトルになったのは、それから1ヶ月ほどあとのことだ。当時はスキャナはなかったので、字ばっかり。作者の紹介と、文庫巻末の著作リストの引用、シリーズごとの紹介とコメント、それに自己紹介文。それだけのスタートだった。いや、この自己紹介文を見ていただければわかるのだが、当時はバローズだけにするつもりは毛頭なかった。これを手始めに、オールドSFを中心に、最近のものも含めた「面白いと感じるSF」を紹介していこうと思ったのだ。
その思惑は、すぐにはずれはじめた。