……しかし関心のある方のために述べれば、火星日は(地球時間)24時間37分ちょっとである。これを火星人は10の等間隔10ゾードに分け、1日を地球時間の6時頃に始まるものとしている。1ゾードはこれよりもさらに短い50の間隔ザットに分けられ、その一つ一つがまた、およそ地球の1秒に等しい200の短い間隔タールから成り立っている。ここにあげるバルスームの時刻表は、カーター大尉の記録に記載されている時刻表のうちのほんの一部にすぎない。
さて、これまた一覧にしてみようか。
1タール = 0.886秒 (火星秒) 200タール = 1ザット = 2分57秒 (火星分) 50ザット = 1ゾード = 2時間27分42秒 (火星時間) 10ゾード = 1火星日 = 24時間37分 (約1日)
1日の長さが地球時間とほぼ同じ、というのは一見、都合がよすぎる気はするが、手元の『理科年表』によれば火星の自転周期は地球時間の1.0260日であるから、一応事実であることになる。距離単位同様、バローズはちゃんと調べているらしい。しかし、調べていくとここでも誤謬に行き当たった。
火星の1日は10ゾードに分かれ、1ゾードは50ザット、1ザットが4タール、つまり1ゾードが200タールになる。彼らの時計の文字盤には4つの同心円がついている。内側の円と次の円とのあいだにゾードが1から10まで記され、その次の円には各ゾードとゾードのあいだにザットが1から10まで記され、その外側の円にはゾードの目盛りから文字盤の外周までの範囲に200タールが記されているこの時計には
これは参った。ザットとタールのあいだに、もう1単位存在する、ということなのだろうか。それとも単なる書き違いか。判断に苦しむところだ