火星シリーズ5 MARS series 5

火星のチェス人間
The Chessmen of Mars(1922)

Illustrated by Motoichiro Takebe

小西宏:訳/武部本一郎:画/火星のチェス/作者紹介 東京創元社/創元推理文庫601-05/1966.5.27初版/391頁

この本の表紙絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています

story/あらすじ

 火星大元帥カーターの愛娘ターラが飛行艇で不時着した場所は、人類の進化の究極の形態である頭だけの人間と、彼らの乗物である胴体だけの人間が住む秘境であった。そこを命からがら脱出したターラは、ひきつづいて尚武の国マナトール、生きた戦士を駒がわりにして、生死を賭けてチェスを戦う国に捕らえられてしまった。頭だけのクモ人間とチェス人間、美貌のターラと彼女に愛を捧げる若き英雄ガハンが四つ巴になって展開する死闘と大冒険の連続。火星シリーズ全巻の中でも、質量ともに一、二をあらそう白眉編!

chapters/目次

序曲 ジョン・カーター地球に到来 PRELUDE - John Carter Comes to Earth
  1. ターラの不興 Tara in Tantrum
  2. 嵐のままに At the Gale's Mercy
  3. 無頭人間 The Headless Humans
  4. 捕えられて Captured
  5. 完全な頭脳 The Perfect Brain
  6. 恐怖の罠 In the Toils of Horror
  7. おぞましい光景 A Repellent Sight
  8. 危機一髪 Close Work
  9. 未知の世界を漂う Adrift Over Strange Regions
  10. 罠におちる Entrapped
  11. ターラの選択 The Choice of Tara
  12. ゲークのいたずら Ghek Plays Pranks
  13. 必死の行動 A Desperate Deed
  14. ゲークの活躍 At Ghek's Command
  15. 穴蔵の老人 The Old Man of the Pits
  16. もう一つの変名 Another Change of Name
  17. 死の競技 A Play to the Death
  18. 忠誠のつとめ A Task for Loyalty
  19. 死者の恐怖The Menace of the Dead
  20. 卑怯者の烙印The Charge of Cowardice
  21. 愛の冒険A Risk of Love
  22. 婚姻のまぎわ At the Moment of Marriage
火星のチェス・ジェッタン

character/登場人物

ターラ 赤色人。ヘリウムの王女。カーターとソリスの娘。カーソリスの妹
ガハン 赤色人。ガソールの王(ジェド)。放浪の戦士(パンサン)トゥラン
ジョール・カントス 赤色人。ヘリウム帝国の海軍士官。ターラの婚約者
ユシア 赤色人。ターラの奴隷娘
ラン・オー 赤色人。ガソール人。マナトールの奴隷娘
オ・タール 赤色人。マナトールの皇帝(ジェダック)
ユ・ソール 赤色人。マナトールの第2都市マナトスの大王(ジェド)
ア・コール 赤色人。ジェッタンの塔の警備隊長(ドワール)。皇帝の息子
ユ・ドール 赤色人。マナトールの第8中隊の隊長(ドワール)
アイ・ゴス 赤色人。マナトールの老剥製師
ゲーク 無頭人間。バントゥーム族のカルデーン

history/初出

Chessmen of Mars,Feb18-Apr.2.1922,All-Story Magazine
The Chessmen of Mars,1922,McClurg

comment/コメント

 実はこの巻、厚木淳氏による新訳版しか持っていなかったのだが、IOKA氏の好意により、旧訳版も入手できた。感謝多謝。さて、ゲームが支配する世界というのは、最近ではありがちなアイディアだが、1922 年という時代を考えるとすごい気がする。ローマのコロッセオからの発想だろうが、それに人間チェス、それも死ぬまで続きがないというのは、すごいアイディアだ。怪物のアイディアといい、SF作家としてのERBのすごさがでている。絶頂期の代表作の一つ、といっても過言ではないだろう

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