東京創元新社/1965.9版/33頁
contents/もくじ
わたしのSF礼賛 … 奥野 建男 E・R・バローズの〈火星シリーズ〉について … 野田宏一郎 「火星シリーズ」を訳して … 小西 宏 SF読書案内 … 石川 喬司 SF同人誌は花ざかり … 厚木 淳 SF読者だより 火星の二つの謎 創元推理文庫SF総目録
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かつて東京創元社(当時は東京創元新社)が創元推理文庫に付録としてつけた小冊子が、創元推理コーナー。書評や紹介のコラムやエッセイによって構成され、SFやミステリの専門誌(雑誌)を持たない同社にとって貴重な主張媒体だった。当然、力を入れていたSFマーク、「大人の絵本」という当時としては斬新なコンセプトを導入した〈火星シリーズ〉に付属させないわけがない。初版にしかつかなかったと思われる貴重なものだが、きちんと保管してくれていたばかりかありがたくもプレゼントしてくれた方がいた。小林さんには感謝するほかない。
野田大元帥の紹介文はどこででも読めそうだが、貴重なのは先日惜しまれつつなくなった小西宏氏の文章。〈火星シリーズ〉はもちろん、レンズマンやフレドリック・ブラウンの諸作など、創元初期のSFマークを語るときに避けて通れない恩人だが、しばらくで翻訳からは足を洗ってしまい、長らく幻の方だった。当時の文庫解説は編集者であった厚木淳氏の独壇場であっただけに、貴重である。