Illustrated by Motoichiro Takebe
厚木淳:訳/武部本一郎:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-03/1979.03.09初版/275頁
story/あらすじ
ジョン・カーターの遠征により、バルスームに君臨した邪宗の女神イサスは粉砕された。しかしその前にイサスの奸策により、カーターをめぐる三人の美女が不気味な太陽神殿に幽閉されてしまった。いかにして、この難攻不落の神殿から彼女たちを助け出すか? 凄絶きわまりない大救出作戦は、ドール谷の緋色の平原から北極の大氷原の果てまで、火星を一周して延々と展開する。かつていかなる宇宙艦隊といえども、生きては再び生還したことのないという神秘の北極には、なにがカーターを待ち受けているのか?
chapters/目次
characters/登場人物
ジョン・カーター | 地球人。デジャー・ソリスの夫 |
デジャー・ソリス | 赤色人。絶世の美女。皇帝(ジェダック)タルドス・モルスの孫娘 |
スビア | 赤色人。プタース皇帝(ジェダック)の娘 |
スバン・ディーン | 赤色人。プタース皇帝(ジェダック)。スビアの父 |
マタイ・シャン | 白色人。ホーリー・サーンの教皇 |
ファイドール | 白色人。教皇マタイ・シャンの娘 |
サリッド | 黒色人。ファースト・ボーンの貴族(ダトール) |
サレンサス・オール | 黄色人。オカールの皇帝。王者の中の王者 |
タルー | 黄色人。マレンティナ公国の大公 |
トルカル・バル | 赤色人。ケオル街道の警備隊長(ドワール) |
history/初出
The Warload of Mars,Dec.1913-Mar.1914,All Story Magazine
(original title:Prince of Helium,the Last of the John Carter Martian Stories)
The Warload of Mars,1919,McClurg
comment/コメント
「バローズに憑かれた男」厚木淳氏による新訳版。わたしが購入した時期はちょうどこの版の入れ替わりの時期だったので、この3巻についてはこの厚木版の方を購入、読んでいた。小西版とは若干の訳語の違いはあるが、章題も一緒で、区別は付けにくい。むしろ、小西訳の美しい文章に対する評価も一般にはあるようだ。意地の悪い見方だが、編集者として創元推理文庫を仕切っていた厚木氏のわがままによる改訳ではないかと、邪推している。ただし、厚木氏のいれこみようはただ者ではなく、バローズのようなのめり込んで読んでしまうタイプの作家には最適の訳者であるのは事実である。