Illustrated by Shigetaka Sawada
亀山龍樹:訳/沢田重隆:画/亀山龍樹:解説 岩崎書店/SFこども図書館8/1976.02.20 初版/178頁
story/あらすじ
ジョン・カーター青年が、アリゾナの山おくで、金鉱をさがしていたときのこと。ふしぎなことがおこって、カーターのからだは、なんと、宇宙をとんで、気がついたら、火星に着陸していました。
さて、その火星はどんな世界だったでしょう。カーターはまず、馬によくにた八本足の怪獣にまたがった、四本も手のある巨人の一隊にでくわします。それが、みどりいろ人でした。ほかに、赤いろ人というのもいました。赤いろ人は、地球の人間とそっくりです。そしてここは、けんかの強いものがいばっていて、すぐにたたかいがはじまる、ぶっそうなところでした。
カーターは決男子です。正義のかたまりみたいな男で、剣の達人で、おそれをしりません。みどりいろ人のとりこになった、赤いろ人のかわいらしい王女をまもって、すばらしいかつやくを、くりひろげます。
みなさんも、つうかいなカーター青年を、おうえんしてください。
chapters/もくじ
history/初出
Under the Moon of Mars,Feb.1912,All Story Magazine(penname:Norman Bean)
A Princess of Mars,1917,
comment/コメント
岩崎書店版を偶然、入手できた。この本もそうだが、SFこども図書館という叢書そのものが感動的だ。昔は、こういった本を学校や地域の図書館で読んで、中学生くらいで書店で文庫に出会い、再読して、ファンになっていった、というひとが多かったんだろうなと思うと、現状が情けなくもなってくる。
叢書はないし、受け皿の文庫もないのが現状だからだ。「ニワトリが先かたまごが先か」の議論になってしまうが、こうした出版事情の貧困さが「SF冬の時代」を作り上げているという気がする。いや、単なるノスタルジーなのかな? いやいや……