Cover Art by Hitoshi Miura
小笠原豊樹:訳/三浦均:画/小笠原豊樹、新保博久:解説 小学館文庫ハ10-3/2012.05.13初版/311頁
Story/あらすじ
デジャー・ソリスを拉致した悪殊な敵を迫ってカーターの戦いは続く。火星の南極から赤道直下の密林国ケオールヘ、さらには極寒の北極に住む黄色人の国へ。カーターは子午線沿いに火星を縦断する。
猛毒を持つ巨大なスズメバチ、雪原の腐肉の洞窟に住み、六本の手足を持つ巨獣アプト。そして、雪と氷のただなかに浮かぶ、ガラスのドームに覆われた温室国家、強力な磁力を秘めた聳え立つ円柱。
バローズの想像力は詩と科学をあざなうように物語を押し進めていく。はたして火星に平和は訪れるのか。ここに、〈ジョン・カーター〉 シリーズは感動の大団円を迎える。
chapters/目次
history/初出
Warlord of Mars, Dec.1913-Mar.1914, The All-Story
(original title:Prince of Helium,the Last of the John Carter Martian Stories)
The Warlord of Mars, 1919, A. C. McClurg
comment/コメント
〈火星シリーズ〉のはずがいつの間にか〈ジョン・カーター・シリーズ〉になっていた小学館文庫版。このシリーズの表紙絵を描いてくれた三浦均氏はなかなかかわいい絵で好感を持っていたのだが、ジョン・カーターまでかわいくかかれると、なんだかなあ、という感が強い。コミック的な誇張も余計、という感じだし。最終巻にしてこれは、ちょっと残念。
なお、解説の新保博久氏はワセダミステリクラブ出身のミステリ評論家で、江戸川乱歩コレクションなどを編纂されている方のようだが、解説はアバター・オブ・マーズとの比較と、主だった評論書からの引用というのは、ちょっと残念だ。私に力があれば、本1冊分くらいの解説を書くだけの材料はあるんだがな、というのは負け犬の遠吠えですね。しょぼん。