火星シリーズ9
MARS/Barsoom series 9


火星の合成人間
The Synthetic Men of Mars(1940)


Illustrated by Osamu Tsukasa

南山宏:訳/司修:画/野田昌宏:解説 講談社/火星シリーズ−9 /1967.07.10初版/248頁


カバー折返し
不死身の合成人間におそわれた、われらの英雄ジョン=カーターにせまる危機……
飛行船のしょうとつ事故で、火星の大将軍ジョン=カーターの愛する妻デジャー=ソリスが、ひん死の重傷をおった。その命を救うことのできるのは、火星きっての名医ラス=サバスただひとり。だがかれは、怪獣毒蛇のはびこる大湿地帯の蛮族にうばいさられて、生死不明だった。
それを知ったカーターは、忠実な部下ボル=ダジをつれて、サバスのゆくえを探す旅に出発した――。
だがめざす大湿地帯に近づいたとき、巨鳥マラゴールにまたがった敵兵の一団がおそってきた。奇怪なことに、かれらは切ってもついても死なないのだ!
この不死身の敵ホルマッドこそ、サバスの作り上げた合成人間だったのだ。

この物語について
 平和と繁栄をほこる火星の王国ヘリウムに、とつじょ暗雲がおおいかぶさった。飛行艇のしょうとつ事故のため、火星の大将軍ジョン=カーターの愛する妻、デジャー=ソリスが、ひん死の重傷をおったのだ。
 その命を救えるのはただひとり、火星上ならぶものなき大学者、名外科医のラス=サバスのみ――だが、かれはいま、ようとしてゆくえが知れず、その生死さえもわからなかった。
 かくて、愛する妻のために、ジョン=カーターは、ラス=サバスをさがすあてのない旅に出ることを決心した――忠実な部下ボル=ダジただひとりを供につれて――。
 しかし、ふたりが、怪物や蛮族のはびこる、だれひとり足をふみ入れるもののないツーノル大湿地帯にさしかかったとき、はやくも、さいしょの危難がふりかかってきたのだ。それは、巨鳥マラゴールにまたがってあらわれた、不死身の合成人間ホルマッドの一団だった――。
(南山宏)

history/初出

The Synthetic Men of Mars,Jan.7-Feb.11,1939,Argosy magazine
The Synthetic Men of Mars,1940,Burroughs

comment/コメント

 講談社版火星シリーズ第9弾。奥付には1967年7月とあるが、創元版の9巻は1968年5月なので、実に10カ月も差がある。講談社判は子供向け感が強いこともあり、大人の、そして武部画伯のファンである読者たちは頭を抱えたに違いない。読みたい、でも…
 まあ、その後も残ったのは創元版だし、講談社を卒業してそちらに進んだ中学生くらいの読者も多かったのではないか。
 これほどの出版競争に巻き込まれるほどバローズが人気だった時代があったということが、今はうれしくもある。

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