Illustrated by Motoichiro Takebe
内田庶:訳/武部本一郎:画/内田庶:解説 偕成社/SF名作シリーズ11/1969.5.20初版/174頁
story/あらすじ
☆読者のみなさんへ
夜空にかがやく赤い星、わたしたちは、この星を火星とよんでいますが、英語では、マースといいます。つまり「戦争の神」です。その「戦争の神」の星らしく、そこでは、戦争がくりひろげられ、戦士が尊敬されているとしたら、どうでしょうか。
この本の作者は、火星をそのような星とかんがえました。そしてその戦いがくりひろげられていく火星に、これまた、戦士のなかの戦士とよぶのにふさわしい地球人を登場させました。
たちまち、息もつまるような大冒険がはじまります。手に汗をにぎる危険が、やすむことなくおこります。むずかしい科学のことなど、この小説をよむときは、わすれてください。
こんなおもしろい小説は、そうめったにあるはずがありません。世界じゅうのひとから読まれている火星シリーズの一さつが、この本なのです。なにもかんがえないで、地球人カーターの火星での大かつやくにきたいしてください。
chapters/目次
John Carter of Mars,1964
comment/コメント
偕成社のSF名作シリーズ全20巻には、バローズ作品が3作も含まれるわけだが、7巻『地底恐竜テロドン』につづく11巻が本書。紛らわしいタイトルだが内容は創元社版の『火星の合成人間』ではなく、『火星の巨人ジョーグ』の表題作のほう。たしかに巨人ジョーグもそれを操るピュー・モーゲルも合成人間に違いはないが、また厄介なことをしたものである。子供向けなのだし、いっそ『火星の大巨人』くらいのほうが目を引いてかつわかりやすそうなものだが。
紛らわしいことを、といえば、15巻に収録されているのは『火星のプリンセス』。先に最終巻があって、あとから第1作を紹介する編集部の意図はどうにもはかりかねる。全体のラインナップを考えず、個々に作品選択をしてしまったのだろうか?
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