長谷川甲二:訳/加藤直之:画/用語辞典 早川書房/ハヤカワ文庫特別版SF104 /1982.07.15初版/378頁
story/あらすじ
血は争えぬもの――ターザンの一人息子ジャックは、文明生活に飽きたらず、ジャングルでの生活を夢見ていた。たまたまいった演芸場で、芸を仕込まれた類人猿アクートと意気投合した彼は、両親に隠れ、アクートとアフリカ行きの船に乗り込んだ。だが、思わぬ殺人事件に巻き込まれ、着の身着のままジャングルの奥深くへと逃亡する羽目となった! 徘徊する野獣、宙を切り裂く弓矢、恐るべき蛮人たち、凶暴な密猟者、いたるところに存在するジャングルの陥穽の中、果たして彼は生き延びられるか……? ターザンの息子がジャングルで活躍する一大冒険譚。
chapters/目次
1〜27(章題なし)
characters/登場人物
ターザン ジャングルの王者。英国貴族グレイストーク卿 ジェーン ターザンの妻 ジャック ターザンの息子 マイケル・サブロフ 船に助けられた男 アルマン・ジャコー大尉 外人部隊の隊長 アモル・ベン・ハトゥール 族長 コヴァドゥ メリーム ハトゥールの養女 スヴェン・マルビン 密猟者 カール・ジャンセン モリソン・ベインズ イギリス人
history/初出
The Son of Tarzan,Dec.4-Dec.25,1915,All-Story Caval
The Son of Tarzan,1917,McClurg
comment/コメント
ターザン・シリーズに行き詰まったバローズが苦肉の策としてその息子を主人公にすえた1編。〈火星シリーズ〉第4巻『火星の幻兵団』と同じ手法だが(こちらではジョン・カーターに代わって息子のカーソリスが活躍している)、〈ターザン・シリーズ〉の魅力は他の異世界シリーズものと異なり、ターザン個人のキャラクター設定にあるわけなので、ちょっと苦しい感じがある。
ちなみにターザン以外が主役を張るのは、他に少年向けの『ターザンの双生児』(ターザンの親戚にあたる少年たちが主人公)と、地底世界シリーズとのジョイントである『地底世界のターザン』(ペルシダーの危機を知って救出隊の結成を企てたジェイスン・グリドリイとのダブル主役)くらいのもの。と思えば貴重ともいえるか。こういった事情のせいか邦訳も遅れ、武部本一郎亡きあとイラストは加藤直之にバトンタッチされている。
なお、加藤氏の意思もあって本作の書影は掲載していないことを、ご承知おきください。
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