厚木淳:訳/加藤直之:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-35/1981.07.24初版/368頁
story/あらすじ
母の生国であるヨーロッパの古い王国ルータを観光旅行で訪れたアメリカ青年は、ひょんなことからこの王国の宮廷内部で進行中の一大陰謀事件に巻き込まれてしまった。王国の実権を握る腹黒い摂政公は若い国王を殺して自分が即位せんものと虎視眈々と機会を狙っていたが、このアメリカ青年は、たまたま風貌が国王と瓜二つであったのだ。第1次世界大戦の危機に揺れる王国の中で波瀾万丈の恋と冒険が織りなす華麗な宮廷絵巻。天性の物語作家バローズの筆から生まれたヤンキー青年バーニー・カスターの大活躍!
chapters/もくじ
第一部 摂政公の反逆
第二部 二人の国王
characters/登場人物
レオポルト | ルータ国王 |
ブレンツ公ペーテル | 摂政 |
コブリッヒ | 陸軍大臣 |
メンク大尉 | ブレンツ城司令官 |
ルートヴィヒ公(フォン・デア・タン) | ルータの貴族 |
エマ公女 | その娘 |
バッツォウ中尉 | 国王に忠実な士官 |
クラーメル | ターフェルベルクの店主 |
ツェレンドルフ伯爵 | オーストリア公使 |
バーニー・カスター | アメリカ人 |
history/初出
The Mad King,1926,McClurg
comment/コメント
ヨーロッパの小国の王と瓜二つのアメリカ青年が活躍する。白人なら――ましてやヨーロッパをメイフラワー号に乗って夜逃げしてきたアメリカの新興上流階級ならば誰もが見るであろう究極の夢が、描かれている。ターザンの設定を逆手に取った、ERB流のおふざけ小説と言っていいだろう。バーニーとその妹、バッツォは「石器時代からきた男」でも主要な役で出ており、その作品ではターザンを訪ねて(!)アフリカの領地に遊びに行ってしまっている。いかに肩の力を抜いた作品だったか、わかろうというもの。おもしろいといえるかどうか、難しいところだけど、一部のアメリカ人は喜んだろうな。