その他の冒険作品 other adventure story

砂漠のプリンス
The Lad and the Lion(1938)

Illustrated by Hisao Saitoh

厚木淳:訳/斉藤寿夫:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-34 /1980.11.07初版/252頁


story/あらすじ

 ヨーロッパの由緒ある王国の王位継承者であるマイケル王子は、国王の命令で革命前夜の祖国を脱出してアフリカのサハラ砂漠に上陸した。従うものは、無二の親友である黒いたてがみの大ライオンだけ。しかも運命のいたずらから、王子の過去の記憶はいっさい消滅していた。灼熱の太陽のもと、王子とライオンがたどる数奇な恋と冒険。世界大戦の危機に揺れる王国と、サハラの原始生活を交互に配置して、野生の讃歌と文明の挽歌を見事に描き分けたバローズの会心作!

chapters/もくじ

1.〜25. (章題なし)

characters/登場人物

マイケル王子 本編の主人公
オットー大公 国王の弟
フェルディナント王子 その息子
サルニア伯爵 衛兵隊長
アンドレシー 革命党員
カーリン
ウィリアム・ヴェセル
ヒルダ・デ・グロウト 園丁長の娘
ハンス・デ・グロウト ヒルダの弟
アリ=エス=ハジ サハラの首長(シェイク)
ナクーラ その娘
ベン・サアダ その部族民

history/初出

The Lad and the Lion,Jun.30 to Jul.14,1917,All Story Cavalier Weekly Magazine
The Lad and the Lion,1938

comment/コメント

 バローズ得意の少年の成長物語(ビルディングス・ロマンス)。アメリカではヒーローといえばスーパーマンなどに代表されるように完成された大人の肉体と能力を備えていることが条件になっているが(日本では昔から牛若丸からエヴァンゲリオンまで年少のヒーローは多く存在する)、バローズのヒーローには、時々こうした未完成のヒーローが登場する。考えてみればターザンだって悩み、また学び、実体験の中で成長していったヒーローなわけで(第1巻)、このあたりにバローズ・ヒーローの本質が見て取れるのかもしれない。

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