火星シリーズ MARS series

合本版・火星シリーズ第1集


火星のプリンセス/火星の女神イサス/火星の大元帥カーター

火星のプリンセス


A Princess of Mars(1917)
The Gods of Mars(1918)
The Warlord of Mars(1919)

Cover Art by Motoichiro Takebe

厚木淳:訳/武部本一郎:画/ 厚木淳、野田昌宏:解説  東京創元社/創元SF文庫 SFハ3-39/1999.6.18初版/830頁

この本の表紙絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています

story/あらすじ

 南軍の騎兵大尉ジョン・カーターは、ある夜、アリゾナの洞窟から忽然として火星に飛来した。時まさに火星は戦乱戦国。地球とはけたはずれに発達した科学を背景に、四本腕の獰猛な緑色人、地球人そっくりの美しい赤色人などが、それぞれ皇帝を戴いて戦争に明け暮れている。その渦中に飛び込んだ快男子カーターは、縦横無尽の活躍の果て、絶世の美女デジャー・ソリスと結ばれる。だがそのとき、二つの月を戴く火星は絶滅の危機に瀕していた……。スペース・オペラの原点ともいうべき不朽の傑作〈火星シリーズ〉全11作を、全4集の合本版で贈る。本集には、記念すべき第1作『火星のプリンセス』、第2作『火星の女神イサス』、第3作『火星の大元帥カーター』を収録。

Chapters/目次

火星のプリンセス

  1. アリゾナの丘にて On the Arizona Hills
  2. 死からよみがえる The Escape of the Dead
  3. 火星到着 My Advent on Mars
  4. 囚われの身 Aprisoner
  5. 番犬をかわして I Elude My Watch Dog
  6. 友情を生んだ戦い A Fight that Won Friends
  7. 火星の育児 Child Raising on Mars
  8. 空からの美しい捕虜 A Fair Capitive from the Sky
  9. 火星の言葉 I Learn the Language
  10. 族長に昇進 Champion and Chief
  11. デジャー・ソリスとともに With Dejah Thoris
  12. 権力を持った捕虜 Aprisoner wuth Power
  13. 火星の恋 Love Making on Mars
  14. 死の決闘 A Duel to the Death
  15. ソラの身の上話 Sola Tells Me Her Story
  16. 逃亡計画 We Plan Escape
  17. 再逮捕 A Costly Recapture
  18. ワフーン族に囚われて Chained in Warhoon
  19. 闘技場の決戦 Battling in the Arena
  20. 大気製造工場 In the Atmosphere Factory
  21. ゾダンガ空中偵察隊 An Air Scout for Zodanga
  22. デジャー・ソリスとの再会 I Find Dejah
  23. 大空で迷う Lost In the Sky
  24. タルス・タルカス友情を知る Tars Tarkas Finds a Friend
  25. ゾダンガとの決戦 The Looting of Zodanga
  26. 殺戮から歓喜へ Through Carnage to Joy
  27. 歓喜から死へ From Joy to Death
  28. アリゾナの洞窟で At the Arizona Cave

火星の女神イサス

  1. 植物人間 The Plant Men
  2. 森の中の戦い A Forest Battle
  3. 神秘の部屋 The Chamber of Mystery
  4. サビア Thuvia
  5. 恐怖の回廊 Corridors of Peril
  6. ブラック・パイレーツ The Black Pirates of Barsoom
  7. 美しき女神 A Fair Goddess
  8. オメアンの深淵 The Depths of Omean
  9. 永遠の生命の女神、イサス Issus, Goddess of Life Eternal
  10. 流刑の島シャドール The Prison Isle of Shador
  11. 地獄の崩壊 When Hell Broke Loose
  12. 死か生か Doomed to Die
  13. 自由のあけぼの ABreak for Liberty
  14. 闇に光る目 The Eyes in the Dark
  15. 逃亡と追跡 Flight and Pursuit
  16. 囚われの身 Under Arrest
  17. 死刑宣告 The Death Sentence
  18. ソラの話 Sola's Story
  19. 地下牢の絶望 Black Despair
  20. 空中戦 The Air Battle
  21. 火攻め水攻め Through Flood and Flame
  22. 勝利と敗北 Victory and Defeat

火星の大元帥カーター

  1. イス河にて On the River Iss
  2. 山脈の地下 Under the Mountains
  3. 太陽宮 The Temple of the Sun
  4. 秘密の塔 The Secret Tower
  5. ケオル街道 On the Kaolian Road
  6. ケオルの英雄 A Hero in Kaol
  7. 新しい盟友 New Allies
  8. 腐肉の洞窟 Through the Carrion Caves
  9. 黄色人の中で With the Yellow Men
  10. 監禁されて In Durance
  11. 餓鬼道地獄 The Pity of Plenty
  12. “ロープをたどれ!” "Follow the Rope!"
  13. 磁石スイッチ The Magnet Switch
  14. 戦局の推移 The Tide of Battle
  15. 報酬 Rewards
  16. 新しい支配者 The New Ruler

characters/登場人物

火星のプリンセス
ジョン・カーター 地球人、バージニア出身の南軍騎兵隊大尉
タルス・タルカス 緑色人、サーク族の副首領
デジャー・ソリス 赤色人、ヘリウムの王女、絶世の美女
ソラ 緑色人、侍女
サルコジャ 緑色人、陰険な侍女
ロルクワス・トメル 緑色人、サーク族の王(ジェド)
タル・ハジュス 緑色人。サーク族の獰猛な皇帝(ジェダック)
タルドス・モルス 赤色人。ヘリウムの皇帝(ジェダック)
モルス・カジャック 赤色人。小ヘリウムの王(ジェド)。皇帝(ジェダック)の息子。デジャー・ソリスの父
カントス・カン 赤色人。へリウム海軍の士官(バドワール)
ダク・コバ 緑色人。凶暴なワフーン族の王(ジェド)
サン・コシス 赤色人。ゾダンガの皇帝(ジェダック)
サブ・サン 赤色人。ゾダンガの王子
ウーラ ジョン・カーターの忠実な番犬
火星の女神イサス
ジョン・カーター 地球人。赤色人の帝国ヘリウムの皇帝(ジェダック)タルドス・モルスの孫娘、デジャー・ソリスの夫
タルス・タルカス 緑色人。サーク族の皇帝(ジェダック)
カーソリス カーターとソリスとの息子
サビア 赤色人。サーン族に囚われた美しい女奴隷
イサス 地底の都ホーリー・ランドを支配する〈生と死の女神〉
ファイドール 白色人。ホーリー・サーンの教皇マタイ・シャンの娘
ゾダール 黒色人。ブラック・パイレーツ、ファースト・ボーンの貴族(ダトール)
カントス・カン 赤色人。ヘリウム帝国海軍総司令官
ホル・バスタス 赤色人。ヘリウム帝国の貴族
ザット・アラース 赤色人。ゾダンガの王(ジェド)
火星の大元帥カーター
ジョン・カーター 地球人。デジャー・ソリスの夫
デジャー・ソリス 赤色人。絶世の美女。皇帝(ジェダック)タルドス・モルスの孫娘
サビア 赤色人。タース皇帝(ジェダック)の娘
スバン・ディーン 赤色人。タース皇帝(ジェダック)。サビアの父
マタイ・シャン 白色人。ホーリー・サーンの教皇
ファイドール 白色人。教皇の娘
サリッド 黒色人。ファースト・ボーンの貴族(ダトール)
サレンサス・オール 黄色人。オカールの皇帝。王者の中の王者
タルー 黄色人。マレンティナ公国の大公
トルカル・バル 赤色人。ケオルの貴族、ケオル街道の警備隊長(ドワール)

history/初出


comment/コメント

ついに合本版を入手した。3冊分の厚さというわけだが、昨今の厚手の長編に慣れた目にはさほどとも感じられない。値段はともかく……。
実は今回、初めて厚木訳の『プリンセス』に接したわけだが、まだ読んでいないので章題を眺めただけの感想でいうと、小西訳に対してより原題に忠実にあらためた点が目に付いた。あと、気になったのはスビア→サビアの固有名詞の変更と、ロルクワス・プトメル→ロルクワス・トメル、プタース→タースのP音の省略がおこなわれている点である。サビアは現代風だと「サヴィア」の表記が普通と思うが、そこまでは思い切れなかったのかな? それともタヴィアと似すぎるのでやめたのか。いっぽう、タルス・タルカスが(より英語風発音に近いと思われる)ターズ・ターカスにならなかったのは一安心。
表紙や挿画などは全点収録されているわけだが、いずれも鮮やかな発色かつ絵の具の凹凸も感じられるほどの丁寧な作りで、あらためて版を起こしただけのことはあるな、という出来である。あと発見したのは、デジャー・ソリスの左腕、添えられた右手のあたりの紫の布に見える水滴のあとである。これは、初版にはないものなので、後日、誰かが水のようなもの(もしかすると唾か、コーヒーか何か?)をこぼしたと思われる。原画を汚すとは不届きな、と思うのは細かすぎるか?
 なお、この本に収録された訳者あとがき(厚木淳氏)、並びに推薦文(野田昌宏氏)については、一時期WEBサイト上に転載、公開していましたが、東京創元社よりの要請により、転載を中止したことをお断りしておきます。

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