火星の古代帝国/火星の巨人ジョーグ/付・モンスター13号
火星の古代帝国
Cover Art by Motoichiro Takebe
厚木淳:訳/武部本一郎:画/ 厚木淳、野田昌宏、加藤直之:解説 東京創元社/創元SF文庫 SFハ3-42/2002.09.30初版/821頁
story/あらすじ
合本版最終集。第10作『火星の古代帝国』では太古に滅びたはずの白色人帝国に迷い込んだジョン・カーターと孫娘ラナの脱出行が描かれる。第11作『火星の巨人ジョーグ』は中編集。一万体の人間と大白猿を合成してつくられた全長40メートルの巨人が来襲し、ヘリウム空軍と凄絶な戦闘を繰り広げる同題中編と、突如飛来した木星人立ちにジョン・カーターが拉致され、はるか木星へと連れ去られる「木星の骸骨人間」の2作を収める。付録として、野田昌宏による火星地図とバローズ小伝を再録した。さらに巻末ボーナスとして、孤島が舞台の人造人間ものの単発長編『モンスター13号』を収録。
Chapters/目次
火星の古代帝国
はしがき
第1部 古代の死者たち1.-13.(章題なし)第2部 火星のブラック・パイレーツ1.-13.(章題なし)第3部 火星の冷凍人間1.-13.(章題なし)第4部 火星の透明人間1.-13.(章題なし)
「火星の巨人ジョーグ」
- 誘拐
- 捜索
- 巨人ジョーグ
- ねずみの都市
- 恐怖の部屋
- ピュー・モーゲル
- 空飛ぶ恐怖
- 爬虫類の穴
- ヘリウム攻撃
- 二千のパラシュート
- 大胆不敵な計略
- 国家存亡のとき
- 大恐慌
- 冒険の終幕
「木星の骸骨人間」
はしがき
- 罠
- ウ・ダン
- 木星(サスーム)のモルゴール人……
- ……そしてサバトール人
- わたしは売国奴になりたい
- 脱出
- フォ・ラル
- 闘技場にて
- ザノールへ!
火星用語辞典
バルスームの地図 野田昌宏
E・R・バローズの世界 野田昌宏
モンスター13号
- 断絶
- 重い櫃
- 美女と野獣
- ニュー・フェイス
- 裏切り
- 殺せ!
- 皮の鞭
- 13号の魂
- 野蛮なボルネオへ
- 絶体絶命
- 「いま行く!」
- 背信行為
- 埋められた宝
- 人間か怪物か?
- 手遅れ
- シンの話
- 九九九・プリシラ
訳者あとがき
『火星の古代帝国』 | |
ジョン・カーター | ヘリウムの王子、火星大元帥 |
ラナ | ガソールの王(ジェド)ガハンの娘、カーターの孫娘 |
パン・ダン・チー | オロバール人、ホルツの戦士 |
ホー・ラン・キム | ホルツの皇帝(ジェダック) |
ラム・タル・オー | ホルツの地下の奇怪な人物 |
ヒン・アプトル | 北極パナールの皇帝(ジェダック) |
ジャド・ハン | アモールの戦士。ジャナイの兄 |
タン・ハドロン | ハストール出身のヘリウム将校 |
ゴル・ドン | パナール人の士官 |
フォ・ナール | デュサール号の第一士官 |
「火星の巨人ジョーグ」 | |
ジョン・カーター | ヘリウムの王子、火星大元帥 |
デジャー・ソリス | 絶世の美女、ジョン・カーターの妻 |
タルス・タルカス | サーク族の皇帝(ジェダック)、カーターの盟友 |
カントス・カン | ヘリウム空軍司令官 |
ピュー・モーゲル | 火星の支配者を名乗る合成人間 |
「木星の骸骨人間」 | |
ジョン・カーター | ヘリウムの王子、火星大元帥 |
デジャー・ソリス | 絶世の美女、ジョン・カーターの妻 |
ウ・ダン | 赤色人、木星人に捕らえられる |
バジャ | その恋人、右同 |
マルチス・パル | 赤色人、ゾールの王子 |
バンドリアン | 木星のモンゴール人(骸骨人間)の皇帝 |
ボリオン | 木星のモンゴール人 |
ザン・ダル | 木星のサバトール人、囚人 |
フォ・ラル | 右同 |
ハン・ドゥ | 右同 |
『モンスター13号』 | |
マクスン教授 | 生物学者 |
ヴァージニア(リニー) | その一人娘 |
フォン・ホルン | 教授の助手 |
シン・リー | 中国人コック |
バダドリーン | マレー人の一等航海士 |
ムダ・サフィール | マレー人の酋長 |
バルンダ | ダヤク族の族長 |
ニナカ | |
メイ | 海軍大尉 |
13号(ブラン) | 教授が創った人造人間 |
"Llana of Gathol",1948,Burroughs
"John Carter of Mars",1964
"The Monster Men,1929,McClurg
comment/コメント
ついに、という感じで合本版が完結した。第3集から1年3ヶ月。長かったが、無事完了したことをうれしく思いたい。合本は売れ行きがよくないといううわさを聞いていたので心配していたが、第1集は5版まで重ねたというし(他の集は重版がないといううわさもあるが)、当初の予定(意気込み)どおり、息の長い出版物となることを祈るのみだ。
この巻だけ薄くなると思われていたが、シリーズとは無関係の『モンスター13号』を収録するという離れ業で厚さをそろえてきた。どうせならルポフの火星シリーズ評伝『バルスーム』を再録するか、フリント・ロイの"Guide to Barsoom"を翻訳するかすればよかったのにとも思うが、版権の問題もあるのかもしれない。『モンスター13号』は〈火星シリーズ〉でも繰り返し使用されている合成人間のアイディアを最初に採用した初期長編だからまったく関係ないわけでもないが、どうしてもバローズ作品を収録したいなら「さい果ての星の彼方へ」がよかったように、個人的には思う。なぜなら、この作品は『火星のプリンセス』の再話として書かれた物語だからだ。
ちなみに帯の裏表記にはあっと驚く告知がのっているのだが、それは驚きが事実になったときにあらためて確認しあうことにしたいと思う。