Illustrated by Osamu Tsukasa
矢野徹:訳/司修:画/野田昌宏:解説 講談社/火星シリーズ-3/1967.05.20 初版/242頁
story/あらすじ
カバー折返し
極北の氷原に、命をかけて戦うジョン=カーター
太陽神殿にとじこめられた美しい妻デジャー=ソリスをたすけだすため、ジョン=カーターは、愛犬ウーラをつれて黒色人スリッドと法王マタイ=シャンをどこまでもおいかけていく。
だが一瞬の差でふたりをにがし、妻とスビア王女をつれてカオル帝国へにげてしまった。そのあとを追ったジョン=カーターは、カオルの宮廷でマタイ=シャンたちの悪だくみをあばいたが、またもにげられる。それをスビア王女の父、プタルス皇帝とともに飛行艇であとを追い、黄色人の国にはいり、暴君サレンサス=オールや悪者をたおし、デジャー=ソリスとスビア王女をたすけだす。
ヘリウム帝国にがいせんしたカーターは、火星の大将軍に任命されるのだった。
この物語について
これは、地球が生んだ最大の英雄ジョン=カーターの物語だ。南軍騎兵大尉だったかれは、戦乱にあけくれる火星に大活躍をつづけ、ヘリウム帝国の王女である美しいデジャー=ソリスと結婚した。だが、火星の大気がなくなりはじめ、火星の全住民が死にそうになった。その危機をすくったカーターは、気を失っているうちに地球にもどり、十年の月日が流れていった。
かれは、やっと火星へもどることができたが、妻であるデジャー=ソリスは、邪教の法王マタイ=シャンにとらえられていた。かの女を追ってジョン=カーターは火星をめぐり、悪党どもと戦い、ついに大氷壁をこえて北極の国に潜入し、かの女をうばいかえし、火星の大将軍の名誉をあたえられるのだ。
ターザンの作者バローズが作りだした主人公のうち、アメリカ人をもっとも熱狂させた英雄、それがこのジョン=カーターなのである。
矢野徹
history/初出
Warlord of Mars, Dec.1913-Mar.1914, The All-Story
(original title:Prince of Helium,the Last of the John Carter Martian Stories)
The Warlord of Mars, 1919, A. C. McClurg
commento/コメント
講談社版火星シリーズの第3弾。先行する創元版とタイトルを変えたのは、わざと、というか戦略的なものだろう。一見新作かと思わせる効果はあったかもしれない。
表紙はジョン・カーターだろうが、よろいがごつい感じがします。