Illustrated by Osamu Tsukasa
北川幸比古:訳/司修:画/野田昌宏:解説 講談社/火星シリーズ−7 /1967.06.28初版/258頁
カバー折返し
火星の運命をになって活躍する、勇気と知恵にあふれるわかい戦士、ハドロンの長剣はさえる!
火星の二つの月の光が、深紅のしばふをむらさきにそめる夜、わかくおおしい火星の戦士はあでやかに美しい女性と愛を語った。……しかし、ゆめはやぶれ、さらにふしぎな飛行艇の出現によって、その女性は火星の戦士の目の前から消えていった。追え! さがせ! 戦士ハドロンに、緑色人・白色類人猿、巨大なくも、白いさそり、食人種……危難がつぎつぎにおそいかかった。
ナイフを飛ばし、長剣をふるい、光線銃を掃射し、知恵をしぼってたたかうハドロン。
それに、恐るべき新兵器をそなえて、火星征服をたくらむ皇帝をたおさなければならないのだ……。
もしハドロンがやぶれれば、火星の自由と平和もやぶれるのだ。火星の運命は、ハドロンの一身にかかっているのだ。がんばれ、わかき戦士ハドロン!
フランスの戦線から火星へ飛び、デュホール皇帝のむこになった英雄ユーリシス=パクストンもと大尉が、グリードリー波通信にのせて七千九百キロのかなたから送ってきた、これは新しい物語である。
活躍するのは、赤色火星人の勇敢で心やさしい戦士ハドロン。パクストンや、カーターという地球からきた軍人とちがい、カルソリスともちがう、きっすいのバルスームっ子のハドロンが、バルスームきっての大富豪のむすめに恋をうちあけて、このスリリングな物語ははじまるのだ。やがてせまる強力な新兵器による侵略戦争をくいとめようとし、ハドロンは、真実の愛と平和をもとめてつぎつぎにおそう怪物・危難に命をかけ、祖国ヘリウムの運命をかけて戦いぬいていく。大将軍ジョン=カーターも大艦隊をうごかして、火星征服の野望と対決する。これは、平和を守る民族の英雄の恋と戦いの記録だ。
どうか、下級士官タン=ハドロンを応援してほしいと思う。
ー─原題 A Fighting man of mars
(北川幸比古)
chapters/目次
history/初出
A Fighting Man of Mars,Apr.-Sep.1930,The Blue Book Magazine
A Fighting Man of Mars,1931,Metropolitan
comment/コメント
講談社版火星シリーズ第7弾。シリーズ中ではデジャー・ソリスをしのぐ人気のヒロイン、タヴィア(講談社版ではタビア)が登場します。というわけで、通常、この巻の表紙はボーイッシュなタヴィアの決め姿が描かれることを期待するわけですが……なぜか、ひげ面男です。ちょっと残念ですね。