地底世界シリーズ1 PELLUCIDAR series 1

ペルシダ王国の恐怖
At the Earth's Core(1922)

Illustrated by Teruya Yamamoto

福島正実:訳/山本輝也二:画/内田庶:解説 国土社/少年SF・ミステリー文庫8/1983.04.25初版/118頁


story/あらすじ

 すさまじい、強力なエンジンのうなりとともに、「鉄モグラ」は、地底深くもぐっていった。
 やがて、デビッドとペリー老人の見たものは、原始時代の植物と大怪獣がうごめくなかを、猿人にひきたてられてすすむ、かなしげな人間の一行だった。

chapters/目次

サハラ砂漠で出あった男
地底へむかって
空気だ!
ふしぎな世界
怪獣あらわれる
ペリーとの再会
美女ダイアン
地底の都
脱走!
逆襲だ!
生体実験
ついに外へ
うしろはサゴス、まえは怪獣
飛竜だ!
決闘
ふたたび地上へ

characters/登場人物

デビッド・イネス あたらしい鉱脈発見を目指す鉱山会社の社長。地底世界へまよいこみ、おそろしい体験をする。
正義感が強く勇気がある
ペリー老人 地下ボーリングの機械「鉄モグラ」を発明し、完成する。デビッドとその試運転にのりこみ、運命
をともにする。
マハール族 地下都市ブートラにすみ、サゴス族を手下にして、地底王国ペルシダを支配する。人間ではなく
怪物といわれるが……
サゴス族 ネアンデルタール原人くらいの知恵をもつどうもうなゴリラ人間。捕虜として人間を捕らえ、残酷
に扱う。
ダイアン 原人サゴス族に捕らえられ悲惨な行軍をつづけているが、本当はアモズ族の国王ダコールの娘
美しく、頭もよい。
ジュバル 国王ダコールのあと、部族アモズの首領となる。ダイアンを力づくで自分の妻にしようとしてい
る。あだ名は「鬼」。
ガーク アモズ族の親せき、サリ族の王のむすこ。
フージャ 「ずるがしこい男」というあだ名がある。
ジヤ マハールやサゴス族と戦う、メゾブ族の首領。一時は補りょとして捕らえられるが脱走する。勇か
んで、すばしこい。

history/初出

At the Earth's Core,Apr.1914,All Story Weekly Magazine
At the Earth's Core,1922,McClurg

comment/コメント

 山本輝也氏が表紙をかいていることがまず注目される。山本氏といえば、創元推理文庫ではヘンリー・ライダー・ハガードのイラストを描いている人だ。ハガード、そして山本輝也といえば、なんといっても、『洞窟の女王』の表紙絵、そして口絵が目に浮かんでくる。武部本一郎画伯の『火星のプリンセス』表紙絵と並び称せる唯一の絵ではないかとさえ思われる。肉感的で荘厳な永遠の美女アッシャは、とにかく美しい。その人の描く美女ダイアン。期待は高まるわけだけど、残念、子供向け叢書ということで手を抜いた、と言うよりは分かりやすい絵を心がけたのだとは思うのだけれど、ちょっとマンガチックな絵で残念。印刷もあまりきれいじゃないし。
 もう一つだけ、この本の最大の特長は、というと、注文の必要はあると思うけど、ともかく一般書店で入手できる現在では唯一の地底世界シリーズである、ということだろう。とんでもないことだが、これが現実なのだ。そう思ってみると、国土社には感謝しなければならないかな。なんといっても、1991年の刷りを美本の状態で在庫し続けてくれていたのだから。

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