Illustrated by Shin Kamiya
野田昌宏:訳/上矢津:画/野田昌宏:解説 あかね書房/少年少女世界SF文学全集/1971.12.15初版/253頁
story/あらすじ
地球の中にもうひとつの世界が! 強力なドリルを回転させて、〈鉄モグラ〉はぐいぐい地中にもぐり続けた。激しい熱気と恐怖にたえ、ついにつきぬけたとき、そこには、動かない太陽、どこまでも空に続く海、ぶきみな生物、そして知能のある動物にしいたげられた人類など異様な世界が息づいていた。
chapters/目次
history/初出
At the Earth's Core,Apr.1914,All Story Weekly Magazine
At the Earth's Core,1922,McClurg
comment/コメント
これぞ、わたしが最初に読んだバローズ。正確には小学生の頃に『類猿人ターザン』を子供向けにリライトしたものは読んでいるけど、当時は作者を意識せず、おもしろい小説だなあというだけの認識だった。バローズの最初の紹介者として知られる野田昌宏が全編翻訳したという点でも価値のある一冊なのだろうが、いかんせん、悪のりが得意の野田大元帥のこと、子供向けに書き換えたということを差し引いてもちょっと改変がすぎるといった感じで、のちにハヤカワ文庫SF版をよんで「あれ、こんな話だったかな?」と思ってしまったくらい。キャプテン・フューチャーなどは野田節しか考えられないが、バローズにはよけいな脚色など不要だということが、この1冊でよくわかった。