厚木淳:訳/加藤直之:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-37/1989.01.27初版/332頁
story/あらすじ
1963年、アメリカ大西部。とある白人の赤子がベドンコヘ族のゴヤスレイ――またの名をジェロニモ――に拾われた。彼は長じて、生粋のインディアンも及ばぬほどの能力をそなえた戦士となり、部族の名誉をかけて戦うこととなった。彼の名は、ショッディジージ(黒熊)。おりしも、仇敵であるアメリカ人のインディアンに対する圧制は、ますますその激しさを増していた……ショッディジージが迎える戦いの日々。エドガー・ライス・バローズにこの作品ありと謳われた傑作ウェスタン2部作をここにお届けする。
chapters/もくじ
characters/登場人物
ショッディジージ | ベドンコヘ族の戦士。のちに戦闘酋長 |
ゴヤスレイ(ジェロニモ) | ベドンコヘ族の酋長。ショッディジージの義父 |
ソンシーアレイ(モーニング・スター) | ゴヤスレイの妻。ショッディジージの義母 |
ジュー | ネドニ族の酋長 |
ヴィクトリオ | チヘンネ族の酋長。ゴヤスレイの親友 |
ジアンナター | 戦士。ショッディジージの親友 |
イシュケイネイ | ショッディジージの恋人 |
ナケイドクランニ | 祈祷師 |
ナンタドタッシュ | 祈祷師 |
ウィチタ・ビリングズ | 白人。ビリングズ牧場の娘 |
キング少尉 | 合衆国騎兵隊隊員 |
history/初出
The War Chief,Apr.16 to May.14,1927,Argosy All Story Weekly Magazine
The War Chief,1927,McClurg
comment/コメント
久しぶりにバローズを読んだ、という気持ちにさせられた作品。エンターテインメントとしておもしろく、主人公の悩みと成長も描かれ、実はアンハッピーエンドである……これはおもしろいぞ!
紛れもなくバローズのヒーローであるショッディジージは、しかしその活躍の舞台を歴史上の現実のアメリカにおいたが故に時代を覆すことはできなかった。ジョン・カーターが火星の大元帥になることはあっても、ショッディジージがアメリカの王になることはできないのだ。ネイティヴ・アメリカンに対するバローズの視点の公平さは、歴史的背景を考えると驚嘆に値するが、それでも現実の歴史は確固としているということなのだろう……