厚木淳:訳/加藤直之:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-38/1989.02.17初版/318頁
story/あらすじ
アメリカ人たちは、アパッチのやり方をがんとして受け入れようとしなかった。インディアン居住区を定め、アパッチたちがそれに従ってさえ、彼らのアパッチ虐待は続いた。徹底して白人と戦い続けようとするショッディジージ――白人たちから”アパッチの悪魔”と呼ばれ、恐れられた最後のインディアン。しかし歴史は、否応なくアパッチたちの未来を決定していく……そのかたわら、ショッディジージは、ビリングス牧場の白人の娘ウィチタに思いを寄せている自分にも気づいていた……。バローズ入魂のウェスタン2部作は、ここに結末する。
chapters/目次
characters/登場人物
ショッディジージ(黒熊) | ベドンコヘ族の戦闘酋長 |
ジェロニモ | ベドンコヘ族の酋長。ショッディジージの養父 |
ソンシーアレイ | ジェロニモの妻。ショッディジージの養母 |
ジアンナター | 戦士。ショッディジージの親友 |
ウィチタ・ビリングズ | 白人。ビリングズ牧場の娘 |
ダーティ・チーティム | 白人。〈ホグ・ラーンチ〉の主人 |
ルーク・ジェンセン | ビリングズ牧場のカウボーイ |
スムース・クレフ | |
ルイス・マリエル | メキシコ人の青年 |
クロフォード大尉 | 合衆国第0騎兵隊斥候隊長 |
キング少尉 | 合衆国第0騎兵隊B中隊隊長 |
カリス大尉 | |
マーガレット・カリス | その妻 |
クルーク将軍 | 合衆国第0騎兵隊司令官 |
マイルズ将軍 |
history/初出
The Apache Devil,May.19 to Jun.23,1928,All Story Weekly
Apache Devil,1933,Burroughs
comment/コメント
本書こそ日本に紹介された、最後のバローズということになる。もう、9年がたってしまったわけだ……時の流れの無情さを感じざるを得ない。
異世界とも秘境とも異なる、現実の世界を舞台にしているだけのことはあって――さらに、歴史的に敗者であることが確定している滅び行く民族の青年を主人公としたことで、バローズの作品としては異色の、光と影が鮮やかな叙情あふれる作品に仕上がっている。近年の佳作といってもいいと思う。ぜひとも読み継がれてほしいと思うが、日本にはこうしたウェスタンの良書を継続して発行する叢書がない。SF以下の境遇なのだ。もし古本屋で見かけたら即GETすること。これは、バローズ全作品中でも上位に位置する傑作だ!