Illustrated by Hisao Saitoh
厚木淳:訳/斉藤寿夫:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-32 /1980.07.25初版/263頁
story/あらすじ
シカゴのスラム街を振り出しに、警察に追われたならず者ビリー・バーンのオデッセイにも似た驚異の旅は、彼を南海の孤島へと運んでいった。その島は350年前、室町幕府が滅亡した折りに日本を脱出した大名の一族が、鎧兜に身を固め、大小2本の刀を腰に帯びて住んでいる20世紀の秘境であった! 美女をめぐってならず者とサムライが展開する死闘の数々。SF作家のリチャード・ルポフが、純粋の冒険小説としてはバローズ全作品中最高の傑作と激賞する名作。全2部作。
chapters/もくじ
characters/登場人物
ビリー・バーン | シカゴのならず者 |
シムズ | ハーフムーン号の船長 |
ウォード | 同、一等航海士、〈やぶにらみ〉 |
テリエール | 同、二等航海士、ド・カドネ伯爵 |
ブランコ | 黒人のコック |
アンソニー・ハーディング | アメリカの富豪 |
バーバラ・ハーディング | そのひとり娘 |
ラリー・ディヴァイン | バーバラの男友達 |
ビリー・マロリー | |
オダ・ヨリモト | ヨカの領主 |
history/初出
The Mucker,Oct.24 to Nov.1914,All Story Cavalier Weekly
The Mucker,1921,McClurg
comment/コメント
本国での評価は、以外と高い。ジョー・ジャスコのイラスト集にも掲載されていたし。野田氏の事前の紹介ではどうしようもない現代小説という感じだったが、日本のサムライの末裔が棲む南海の孤島での冒険など、まあおもしろいといえなくもない。ただし、これがバローズの良さにつながるかというと、疑問符がつく。初期の作品の傾向としてのゴッタ煮感も、ここまで詰め込まれると辟易する感がないでもない。いっそ、こういったロスト・レースのような疑似SF的設定を廃して現代アメリカ小説的に書かれた第2作の方が実はおもしろいのではないかという厚木氏の指摘は的を得ているかもしれない。