CHAPTER I
Twenty-Two Years Later
第1章
22年後
原文 おかぴー初訳 おかぴー・コメント カイ "Your Ma is a very sick woman, Mackie." The older man, sitting at his desk, did not raise his eyes to his son as he spoke, and the other knew that it was because he feared to reveal the emotion that lay behind them, and thus give the boy greater cause for apprehension. 「おまえのおかあさんは、ひどい病気なのだよ、マッキー」机のそばに座っていた、年かさの男は、話すとき彼の息子の方に目をあげなかった。そして、ほかのものは、そういうときは、彼が自分の目の背後にある感情があらわれるのを恐れているからだと、知っていた。だから、余計それは、息子を心配させた。 この部分、sitting at his desk を、机のそばにすわっていた に、しましたが、彼の机のところにすわっていた。が、原文のままの訳ですが・・と、いうふうに、しっくりいかないところ、言い換えとかよいアイディアがありましたから、よろしくお願いします。 その1
この場合の年取った男は、日本語に置き換えると「父親」ですね。そこで・・
机のそばに座っていた父親は、話すとき息子の方に目を上げなかった。息子の不安はさらに深まった。そういうときの父は、自分の目の背後にある感情が、おもてに出るのを恐れていると知っていたからだ。私も、年かさの男だの、彼女とかいう表現なんへんーーと思っていました。直訳するとそうですけどねえー。
ところで、見直しといっても、ここは自分の訳した場所ですから、そんなに時間はかからないと思います。ただ、自分がやったところだと、頭の中が、それで、もうかたまってしまっていて、あきらかに、よくわからない部分とかは、まだ考えられますが、ほかの部分については、なかなか考えが浮びません。アドバイスありがとうございます。
その1のアドバイスのところを考えてみますと、
「おまえのおかあさんは、ひどい病気なのだよ、マッキー」机のそばに座っていた父親は、話すとき息子の方に目を上げなかった。息子の不安はさらに深まった。そういうときの父は、自分の目の背後にある感情が、おもてに出るのを恐れていると知っていたからだ。
ただ、ごめんなさい。息子が二度かさなるのは、ちょっと苦しいかな。この部分、息子をかさねないで、同じような表現はできないでしょうか。二度めのほうを、ドノヴァンとしてもいいけど・・となると、その次のあたりに、またマックリン・ドノヴァンが、でてくるのが不都合になるので、
「おまえのおかあさんは、ひどい病気なのだよ、マッキー」机のそばに座っていた父親は、話すとき息子の方に目を上げなかった。それで、彼の不安はさらに深まった。そういうときの父は、自分の目の背後にある感情が、おもてに出るのを恐れていると知っていたからだ。
ではどうかしら?"I guessed as much when I got your message, Dad," and as he spoke, Macklin Donovan, arose. Walking to his father's side he laid his hand affectionately and sympathetically upon the broad shoulder of the stratopolice lieutenant. "May I See her?" he asked. 「あなたから、知らせをうけたとき、そうではないかと思いましたよ。おとうさん」そう言うと、マックリン・ドノヴァンは、立ち上がった。彼の父のそばに歩いていき、やさしく、思いやりをもって、空中警察の警部補の広い肩に手をおいた。「彼女に会ってもいいですか?」彼は、訊いた。 .と、ここらあたりは、こんなものだと思います。また、あまりにも、heとか、hisとがある場合は、訳すときカットしてあります。
stratopolice は、空中警察としましたが、これで統一してもいいのかな?Stratopoliceは私の辞書にも訳がないですね。「空中警察」でいいのでは。「空中ポリス」ではおかしいし。 "That is all, Mackie -- just See her," replied his father. "She won't know you. The doctor has ordered absolute quiet."
The younger man nodded, and together they tiptoed their way upstairs to a room on the second floor.
When they returned to the den again there was a hint of moisture on the lashes of both men.
"How did you find me," asked the younger man, "through the department?"
"Yes. I telephoned Washington. Your chief told me where you were."「ああ、マッキー、彼女に会ってやってくれ」彼の父は答えた。「彼女はおまえがくることを知らないのだ。医者は絶対安静を指示したのだ」
若者はうなずいた。そして、いっしょに、彼らは2階にある部屋にむかって、静かに上がっていった。
彼らが再び、私室にもどってきたとき、2人のまつげはかすかに、涙でぬれていた。
「どうやって、私を見つけたのです?」若者は訊いた。「本部をとおしてですか?」
「ああ、ワシントンに電話をしたのだ。おまえの上司がどこにいるか、教えてくれたよ」この部分の最初のところ、訂正します。すなわち、That is all, Mackie -- just See her," ですが、それだけだ。マッキー。ともかく彼女に会ってやってくれ。です。こちらの方が正しい訳ですね。これをしったうえで、また言い方をかえるのは、かまわないとは思います。どなたか、よい案があったら、そのほかの部分もだしてくださいね。 その2
That is all, Mackie -- just See her,"のところは、前文が「彼女にあってもいいですか?」彼は訊いた。(この場合の彼女は『おかあさん』のほうがいいかも。息子の言うセリフだから)と、なっているので、
「そうしてくれ、マッキー。彼女に会ってやってくれ」
こんな感じかな?ちょっと微妙ですが。
若者はうなずいた。そして、二人は2階にある部屋へと、静かに上がっていった。
とりあえず、なにかのヒントになれば。「彼女に会ってもいいですか?」彼は、訊いた。
この部分は、カイさんのおっしゃるとおり、
「おかあさんに会ってもいいですか?」彼は、訊いた。
のほうがいいと思います。
「そうしてくれ、マッキー。彼女に会ってやってくれ」彼の父は答えた。「彼女はおまえがくることを知らないのだ。医者は絶対安静を指示したのだ」
若者はうなずいた。そして、二人は2階にある部屋へと、静かに上がっていった。
この部分もこのように訂正したいなと思いました。"I am still on the Thorn case. It's got us guessing. No one in tjhe department believes Mr. Thorn to be more than a visionary philanthropist with conservative socialistic leanings.
"We haven't been able to identify a single avowed radical with him, yet we are sure that there is a bunch of Assurians with whom he has freqnent dealings, often setretly. His son is as much mystified as we, and almighty worried, too. He thinks they are after the old man's money, and fears that they may influence him to finance some movement that will lay him liable to Federal prosecution.「私はまだ、ソーンの問題にかかわっているのですよ。我々は、それを、解明している途中なのです。本部の者は、誰も、ソーン氏が、保守的な社会主義の傾向をもち、先見の明がある慈善家以上のものだということを、信じていないのです。
我々は、ただのひとつも、彼を公然とした過激派と結びつけることは、できていません。が、しかし我々は、彼がアシュリア人の一団としばしば、交際していると、確信しているのです。彼の息子も、我々と同じくらい、当惑して、ひどく心配もしています。彼は、一味が年取った男の金をねらっていると、考えています。さらに、連邦政府の検事当局に処せられるべき動き、すなわち、彼らが、ソーンの資産を彼らに、融資させるのではないかということも、恐れています。まず、単語の訂正があります。
No one in tjhe department は、No one in the department です。
また、often setretly.は、often secretly です。
それから、訳の訂正です。
本部の者は、誰も、ソーン氏が、保守的な社会主義の傾向をもち、先見の明がある慈善家以上のものだということを、信じていないのです。は、本部の者は、誰も、ソーン氏が、保守的な社会主義の傾向をもち、先見の明がある慈善家以上のものだということを、信じてはいません。
それから、often secretly の部分のsecretlyを訳すのをすっかりと忘れていました。ごめんなさい。
あと、and fears that they may influence him to finance some movement that will lay him liable to Federal prosecution.のあたりが、どうもしっくりいかなくて・・
以下の理由から、次のようにこの部分を訂正します。
我々は、ただのひとつも、彼を公然とした過激派と結びつけることは、できていません。が、しかし我々は、彼がアシュリア人の一団としばしば秘密裏に、交際していると、確信しているのです。彼の息子も、我々と同じくらい、当惑して、ひどく心配もしています。彼は、一味が年取った男の金をねらっていると、考えています。さらに、一味が、ソーンを連邦政府の検事当局の法的責任からまぬがれない立場にするであろう、いくつかの彼の資産からの融資をさせようするのではないかということも、恐れています。
ここの部分、意味はこんなところなのですが、わかりやすくするのと、おぎなうために、かなり言葉をたしたり、theyを、一味と訳したりとかしています。また、彼って、ソーンのパパなのか、息子のほうなのかも、ごちゃごちゃにならないようにはしているつもりですが・・もっと、よい訳しかたが、あったら、よろしくお願いします。我々は何一つ、彼を過激派と結び付ける証拠をつかんでいません。それでも我々は、彼がアリュリア人の一団としばしば秘密裏に連絡をとっていると、確信しているのです。彼の息子も、我々同様当惑し、ひどく心配しています。彼は、一味が父親の金を狙っていると、考えています。さらに一味が、ソーンの保有するいくつかの資産から融資をさせて、連邦政府の検事当局から追求される立場に追い込まれるのではないかと、恐れているのです。
ちょっと飛躍しすぎたかな?遠慮なく没にして。"There's another angle to the whole case -- something we haven't sensed yet, even faintly; but I'm going to get it. I think I'm closer to it now than I have been at any time during the past month that I've been on the case. We came down from their summer place yesterday on Mr. Thorn's yacht and things seem to have tightened up some way from the moment we arrived. There's a sort of tenseness and air of mystery that wasn't manifest at Three Gables. この件全体に関しては、別の見地から見て、なにかあるはずです。我々はまだ、かすかさえ、気付いていませんが、私はそれを、つきとめるつもりです。私がこの問題にあたってきてからこのひと月、今までのいかなる時よりも、ずっと今、真相に近づいてきたと思うのです。我々は、彼らが夏を過ごす場所から、ソーン氏のヨットで昨日来ましたが、私たちが到着してから、どういうわけか、事は緊迫してきたようです。スリーゲーブルズ(3つの切り妻)にはなかった、そういったはりつめた、不可思議な空気が今はあります。 ここで、私がやっちゃったのは、weを、我々と私たちに混合しちやってるところです。と、どちらがいいかしらん。我々?私たち?
それから、ドノヴァンパパと話すときは、私でIはきちゃっていますが、あとの部分を訳す時、僕としているときもあるんですよね。どちらがいいか、きめてね。
あと、スリーゲイブルズは、この書き方で統一してもいいかしら。となると、スリーゲーブルズは、直してくださいませ。
また、これは、地名みたいなものですから、このままでとおしていいですよね。それから、不可思議な空気が今はありますの、今は、私がくっつけた言葉です。なぜかというと、前は、そうでなかったけれど、今は、そうだからというのを、強調したかったのですが、おかしかったら、削ってください。"About the ohly new element that seems to have been infused into the affair is Thorn's butler. a fellow named Greeves, who was not at Three Gahles. None of the rest of the town servants seems to count much that I can see, but this fellow Greeves I don't like. He's always pussy-footing. I can scarcely turn around without finding him behind me. I think he suspects me and is watching me accordingly. ただ新しい要素としては、スリーゲーブルズにはいなかったソーンの執事でありグリーヴスという名前の仲間がきたということです。その町では、その他の職務者に誰も、私はあうことができません。でも、私はこの仲間のグリーヴスが好きではないのです。彼はいつも、こそこそ歩きまわる奴なのです。私はめったに、私の背後にいる彼を見つけずに、ぐるりとむきを変えることはありませんよ。思うに、彼は私をあやしいと思い、それゆえ、見張っているのでしょう。 この部分は、正直いって、泣いたところです。なぜって、fellowって、仲間って、訳してもいいのかしらとか、男かしらとか、奴にしたらいいかとか、悩んだし・・なにより、the town servants って、どう訳したらいいだと、困ったからです。
それから、先に単語の訂正をしておきますが、About the ohly new element は、About the only new element です。
あと、at Three Gahles は、at Three Gablesです。
さて、the town servants を、訳さないで、そのまま使うと次のようになります。
ただ、新しいこととしては、スリーゲイブルズにいなかったグリーヴスという名前の男(もしくは仲間、奴)がソーンの執事としてやってきたことです。そのほかのタウンサーヴァントたちには、だれも、私はあうことができませんでしたが、私はこのグリーヴスという奴(もしくは仲間)が好きではないのです。
the town servants ちなみに、辞書ではみつけることができませんでした。それぞれ、分割して考えると、the town で、町とか、上流社会とか、都市とか、市民とか・・都会生活とか・・servantsで、住み込みの召使、使用人、奉仕者、職務者という意味で・・えーん、だれかいい訳考えて・・"The other guests, beside myself, are Mrs. Glassock and her daughter -- the Peabody Glassoks of Philadelphia, you know -- and John Saran and his daughter. As far as the Glassocks are concerned they are out of my reckoning entirely -- but the Sarans are different. They're from Assuria. He's supposed to be a political exile. I haven't a thing on him, but I've filed him in the same folder with Greeves. The girl, his daughter, is all right -- very much all right, plus."
Lieuterunt Terrance Donovan looked up quickly at his son and smiled. The latter grinned back at the older man, and flushed a little.
"Don't be too sure about anybody, Mackie," counseled the father. "And, anent that, are you sure about young Thorn? "
"He was the best friend I had in New Harvard," replied the son. "He asked to have me assigned to this cam because he and I could work together better than strangers. He has done everything to aid me. Not a soul in the house knows who I really am. Thorn was afraid to even let 'em know that my father is a strato -- police lieutenant, for fear it might arouse suspicion as to my motives for being there. They think you're a retired television king from San Francisco and that we're lousy with money. Say, if Mrs. Peabody Glassock of Philadelphia knew the truth she'd throw a conniption."
The older man's face sobered, reflectively. "I'll say she would," he said -- "if she knew the truth."
"Well, Dad," said the boy, rising, "I've got to go -- that's the hell of a job like mine, and yours, too; our personal interests mustn't count."
He threw all am about his father's shoulders affectionately. "Buck up, Dad," he said. "I'm sure Mother'll pull through all right. Keep me posted, and if I can see her when she's conscious. I'll come."
私を除いたほかの客たちは、グラソック夫人と彼女の娘、あなたの知っているあのフィラデルフィアのピーボディ・グラソック家ですよ。そして、ジョン・サランと、彼の娘です。グラソックたちに関するかぎり、まったく私の考慮外ですが、サランたちは違います。彼らはアシュリアの出身です。彼は、政治的亡命者だと思われています。私には彼に関する情報はないのですが、グリーヴスとともに、同じフォルダーの中に彼のことを、ファイルしています。彼の娘に関しては、だいじょうぶです。加えて、申し分ないです」
テランス・ドノヴァン警部補は、すばやく彼の息子を見上げて、ほほえんだ。若者は、父ににっこりと、笑いかえし、そして、少し赤くなった。
「誰についてもたしかというのはないのだよ。マッキー」父は忠告した。「そして、そのことについてもそうだ。ところで、若い方のソーンについてはどうなのだ?」
「彼は、ニューハーバードでは、私のもっともよい友達でした」彼の息子は答えた。「彼がこの件で、私が選任するようにたのんできたのです。というのも、彼と私だったら、よそから来た知らないものより、いっしょにもっとよく仕事ができるからです。彼は、私を手伝うために、なんでもしてくれました。誰も、あの家にいるものは、私が本当は誰かしりません。ソーンは、おとうさんが、空中警察の警部補であることさえ、知られるのを恐れています。と、いうのも、私がそこにいる目的について、疑念をおこすのではないかと、心配しているのです。彼らは、あなたは、サンフランシスコからきた引退したテレビ王だと考えています。そして、我々は、お金もたんまり持っているとね。そうだ、もし、フィラデルフィアのピーボティ・グラソック夫人が本当のことを知ったら、ヒステリーの発作をおこしますよ」
年かさの男の顔は、考えこんで、冷静になった。「私も、彼女がそうなると思うよ」彼は言った。「もし、彼女が真実を知ったら」
「ええ、おとうさん」息子は立ち上がりながら、言った。「私は、もう行きますよ。私のような仕事は、地獄にいるみたいなものですよ。あなたのもね。我々、個人の私情は、かぞえられないのですから」
彼は愛情深く、父の肩にうでをかけた。「元気をだして、おとうさん」彼は、言った。「私は、おかあさんが、きっと、切り抜けてよくなると思います。私をこのまま、仕事に配置しておいてください。そして、もし、おかあさんが意識をとりもどして、会えるのなら、もどってきますよ」私は、もう行きますよ。私のような仕事は、地獄にいるみたいなものですよ。あなたのもね。の部分は、私は、もう行きますよ。私のような仕事は、地獄にいるみたいなものですよ。あなたの仕事もね。にしておきます。
と、ここいらへんは、こんなものですが、それこそ、このあたりなど、いろいろな言い換えとかできると思います。
それから、boyとか、the older man を、場合により、息子とか父とか訳してしまってることも、つけくわえておきますね。もっと、しっくりいく訳し方がありましたら、どんどん意見をだしてくださったら、とても嬉しいです。また、今ちょっと見ていて思いついたのですが、
彼らは、あなたは、サンフランシスコからきた引退したテレビ王だと考えています。そして、我々は、お金もたんまり持っているとね。そうだ、もし、フィラデルフィアのピーボティ・グラソック夫人が本当のことを知ったら、ヒステリーの発作をおこしますよ」
年かさの男の顔は、考えこんで、冷静になった。「私も、彼女がそうなると思うよ」彼は言った。「もし、彼女が真実を知ったら」
の部分も改良の余地がありますね。つまり、年かさの男のあたりと、そのあとのセリフです。
えーと、そのあとのセリフは次のように訂正します。
「そうだろうな。もし、本当のことを、彼女が知ればな。」
で、彼は言ったは、カットしようかしらん。だから、セリフを一気につなげて、翻訳の本でも、こういう場合、いちいち彼は言ったをいれなくてもよいと、してあったからです。
と、ぱんちゃん、ものすごく、ごちゃごちゃして、すみません。まとめる時、大変ですね。でも、またいろいろなご意見まっています。おかぴーさん、使えるところだけ使って、おかしなところは遠慮なく切り捨ててくださいませ。下の見直し文は、こんなふうにもなるかな?
「彼らは、あなたのことをサンフランシスコの引退したテレビ王で、大金持ちと考えています。万が一、フィラデルフィアのピーボティ・グラソック夫人が本当のことを知ったら、ヒステリーの発作をおこしますよ」
以上、思いつきでした。彼らは、あなたのことをサンフランシスコの引退したテレビ王だと考えています。そして、我々は、お金もたんまりと持っているとね。万が一、フィラデルフィアのピーボティ・グラソック夫人が本当のことを知ったら、ヒステリーの発作をおこしますよ。
と、しようかしらん。ちなみに、大金持ちとするより、原文の感じをいかすならということで、お金もたんまりという表現はとっておきたいと思いました。
つまり、グラソック夫人にたいしてのあてこすりなので、そういう感じっぽい言い方ということで、このようにしたいと思いました。Outside he walked the half-block to the aerial taxi tower and shot aloft in an elevator to the traffic platform. Here he hailed aJl air-tixi and a moment later relaxed a the cushioned seat. watching the swirl of air traffic about him drop away as his own craft tore into the blue in response to his brief command "Thorn Tower."
Below, the giant hive of Lower New York, with its half-mile high buildings, housing thirty-four millions of people, drew his attention as it always did. Awe inspiring was this greatest city of Earth. Here, unlike Europe, and Asia, science had truly served, and not in a century had war come to America. Nor had any invader done other than cast covetous eyes on the wealth that science so ably protected. America was impregnable; democracy and science together were unassailable.
And the vast majority of the thirty-four millions were happy and contented. Still, there were elements that intruded, that needed delving into. This was the mission of the Secret Service. Just such an element was the situation that now confronted Macklin Donovan. Thorn, a man with millions, and Saran, a man with a purpose. What was that purpose? American democracy needed to know the answer to such questions.
The air-taxi dropped at last to a high tower, higher than the majority bespeaking the wealth of its owners. Only one other tower in the vicinity could be compared with it, and that was a mile away. Twin needles of stone and steel they were, piercing the lower clouds and dwarfing the lesser giants around them.
Macklin Donovan stepped out on the landing roof, and dismissed the taxi. Then he walked toward the ornate and luxuriously built pent house that graced the very spire of the building.
As he approached the door was opened by a foot-man, just beyond whom, Donovan saw Greeves, who bowed low -- much too low the Secret Service man thought -- as he stepped forward to take the guest's hat.
"Thank you," responded Donovan, curtly. At the library doorway he turned quickly to see Greeves' eyes upon him. Instantly the butler tuned away. There was a frown on the young man's face as he entered the room.
"My!" exclaimed a tall, blonde girl; "whatever in the world is peeving our little Mackie?"
Donovan smiled as the others looked toward him. "Happy as a lark," he assured the girl. "Sun's awful out-been frowing all afternoon to keep my eyes from sun-burning -- haven't got my face straightened out yet."
John Saran was standing upon the opposite side of the room facing him. Donovan was distinctly aware that Saran's eyes were looking past him and not at him, as were the eyes of the other occupants of the library. As he advanced into the room be drew his cigarette case from his pocket and let it drop to the floor behind him. With a latlghing exclamation at his awkwardness he turned quickly to pick up the case, permitting his glance to pass swiftly toward the door-way. Greeves was standing in the shadow of the hall-way, a finger raised. As Donovan turned back toward the room he was still smiling -- but he was the only one who knew why.
"We're going back to Three Gables tomorrow, Macklin," announced his host. "Genevive has had enough of New York in the summer time."
"I thought a little of it would go a long way with her.when she asked you to bring her," replied Donovan, smiling. "You are returning with us?"
The elder Thorn nodded. "Got my business all attended to. Shall be glad to get out of this heat."
"Hmph!" exclaimed Miss Euphonia Thorn, his sister."You haven't transacted a bit of business.
Why in the world you wanted to drag us all down here this time of year is quite beyond me. Make us all suffer for nothing -- absolutely nothing! "
"I didn't drag you down, Euphonia. As a matter of fact I tried to persuade you not to come. I know how you hate the city in summer. And as for my business. I'm a fast worker," he added with a laugh. "I'll finish up the tag ends after the rest of you are in bed tonight." He glanced at Saran then relapsed into silence. Donovan was certain that the Assurian had shot a quick warming from those deep-set, somber eyes.
"Well! " snapped Miss Euphbnia, rising. "I'm goinig to dress for dinner, and I think the rest of you had better be doing the same."
"Why, it isn't four-thirty yet, Aunt Phony," exclaimed Percy Thorn.
"I don't care what time it is and I wish you wouldn't call me Aunt Phony -- it's vulgar and disrespectful. If your Grandfather was alive. but then -"
"But then -- he isn't. Have a cigret, Auntie?"
"You know I never smoke. It's unscientific and harmful. You just ask that to annoy me. It is a filthy habit that I have never Acquired."
"l didn't know that you had ever acquired any filthy habits, Auntie. But then it is a wise nephew who knows his own aunt, these days."
The angular little woman moved majestically toward the doorway. Near it she turned and faced her brother. "Mason," she announced, "l shall not remain to be insulted further."
Her brother laughed indulgently. "See you at dinner, Eu," he called after her.
"You can Sneak a smoke now, Genevive," said Percy to the tall blonde.
"l have not ceased smoking," replied the girl with A shrug. "I do not take your Aunt Euphonia seriously. "
"No one does except herself," replied the young man.
"I wish you would cease smoking occasionally, Genevive," reproved her mother. "Nariva never Smokes, although she comes from a country where the acient habit has been fully revived, and she seems to be just as happy."
"But I do not enjoy smokhg," exclaimed Miss Saran. "I'm sure that I should smoke if I did enjoy it."
The tall Miss Glassock arose from her chair, languidly, and walked to Donovan's side. "Do you think I smoke too much, Mackie?" she inquired, purringly, placing a hand softly upon his arm.
Mrs. Glassock beamed. "Oh, those childrenl " she exclaimed. "lt doen't make any difference what I think, or what anyone else thinks, as long as Mackie thinks it's all right." If she sought to suggest vexation she was not entirely convincing.
Macklin Donovan was visibly ill at ease for an instant, but he laughed it off quickly. Percy Thorn appeared bored and irritated. Could looks wither, Mrs. Peabody Glassock would have assumed the dimensions of a peanut, but she did not even guess that Percy Thorn was looking at her.
Donovan petted Genevive's hand where it lay upon his sleeve. "I'm sure you wouldn't do anything too much, Gene," he assured her.
Saran cast a quick glance at his daughter, caught her eye, and directed a furtive and very meaningful look toward Miss Glassoock and Donovan. Nariva Saran merely raised her delicate brows.
A little later the three women went to their rooms to dress. Saran excused himself presently and was soon followed by the elder Thorn. Then Percy Thorn turned to Donovan.
"Look here, Mach," he said. "What is there between you and Gene? I want to know."
"Nothing, you old fool, except the Donovan millions," and the speaker laughed. "Can't you see that she doesn't give a tinker's dam for me -- that it's her mother who is egging her on."
"I think she's in love with you," insisted Thorn.
"I want to see 'em when they learn the truth about me," said Donovan.
"You may be right about the old lady -- she's after Dad for his bank roll; but Gene -- never! She's true blue, Mack. She's the real thing, and it just about does me up to see her falling in love with one of my best friends."
"Well, you ought to know your friends, Perce -- if they're not at associates for Gene you ought not to bring 'em around."
"Cut the comedy! I'm in love with her and you're not -- at least you say you're not, though I don't see how you can help being -- and I don't want to lose her, and I don't want to play second fiddle."
"Don't worry, Perce. It won't be for long now, unless I miss my guess. Things are coming to a head mighty quick. I have an idea that I'll learn a lot before I'm many hours older, and it may be that I can fade away then in a hurry and not gum up your love affairs with my filthy millions."
"It isn't the money, Mack -- she's a love with you, I'm afraid. I've got money enough, as far as that's concerned; but she can't even see me when you're around."
"You mean when Mamma's around," corrected Donovan. "I saw her making eyes at you and rubbing up against you there at Three Gables and on the yacht every time Mamma wasn't looking."
Thorn shook his head. "I wish you were right," he said; "but you ain't. Come on, let's go up and dress." He arose and walked toward the door.
"I'll be up in a minute -- you run along," replied Donovan. "I want to look around a bit."
Thorn nodded and ran up the stairs that, descending from the second floor, opened into the large library. When he had gone Donovan walked quickly to the doorway leading to the hall. As he did so the heavy hangings before a doorway on the opposite side from the library moved, but the hall was dark and Donovan did not see the movement. He had scarcely reached the doorway when his attention was attracted by the sound of light footsteps on the stairway above. Turning quickly, he saw Nariva Saran descending. She halted almost at the instant that he turned, but immediately resumed her downward course. Had he surprised her? Would she have turned back had he not discovered her? He wondered.
"Ah, Mister Donovan! " she exclaimed. "I thought everyone had gone to his room. I did not expect to meet anyone," She flushed prettily.
He realized now why she might have wished to turn back unseen -- she was in negligee. A very beautiful creation that set off her dark loveliness bewitchingly. Donovan stood with one hand upon the newel post as the girl descended -- his back toward the hall doorway.
"I left a little bag dowm here," she explained. "It contained a few trinkets that I should not care to lose. Ah, there it is!" and she crossed quickly to the chair in which she had been sitting and picked up a Small gold bag. As she returned to the stairway. where Donovan still stood, she paused on the lower step."You had better hurry and dress for dinner, Mr. Donovan," she said, with her pretty accent, "or you will be late." As she spoke she played with the little gold bag, opening it and closing it. Donovan was aware of a very delicate and delectable fragrance about her.
"What a wonderful perfume," he remarked.
The girl smiled and opened the bag again. "Yes," she said, drawing a small jeweled phial from the receptade and holding it toward his face, "it is very worlderful. The Science Ruler of Assuria before he was assassinated gave it to my -- to a friend of my father. There is no more like it in all the world. It is very old and has never been uncorked, yet it permeates whatever it comes in contact with. I just took it from my trunk today -- you did not notice it before?"
"There was too much smoke in the room, I guess," he replied. Suddenly he placed his hand upon hers. "I wanted to say this afternoon, but I couldn't very well at the time, that I am glad you do not smoke."
For just an instant an eager light shone in her eyes, and then she drew back.
"I am glad," she said gently, "if I have pleased Mister Donovan."
"Pleased me! Oh, Nariva, you must known -- " he drew her suddenly close him -- "you must have seen that I -- "
Quickly she placed a cool, soft palm across his lips. "Stop!" she cried, and her eyes looked frightened.
The heavy hangings upon the opposite side of the hallway moved. Donovan's back was toward them.
He clung to her. "I love you!" he cried, almost angrily, it seemed. "You must have known it -- you must have! Why can't you love me?"
She broke away. "I do love you!" she exclaimed; but there was horror in her eyes and in her voice as she turned and fled up the stairway.
Donovan looked after for a moment with puzzled eyes, and then, passing his palm slowly across the back of his neck, he slowly ascended the stairs toward his room.
"The more you see of 'em, the less you know about 'em," he soliloquized as he closed his bedroom door behind him.
In a room at the opposite end of the house and upon the other side of the hall Miss Glassock's maid was arranging her mistress' hair, while Mrs. Glassock sat before a dressing table appliqueing her face. "At your age I should have had him long before this," Mrs. Glassock was remarking. "The girl of today lacks subtlety of contrivance in such matters."
Her daughter shrugged her fair shoulders. "I don't want him," she said. "I want Percy. I should think the Thorn millions would be enough."
"Genevive, you are vulgar!" her mother rebuked. "And anyway, if I marry Mr. Thorn I can expect nothing more than my dower rights in the event of his death, since Percy will inherit the bulk of the fortune; while Mr. Donovan, being an only child, I am told, will inherit his father's entire estateta matter of some hundreds of millions."
Across the hall from the Glassocks Nariva Saran stood before her mirror, scowling. In the doorway of her closet stood John Saran. He, too, was scowling.
"You had him then," be said in a low voice, accusingly.
The girl made no reply.
"Do not fail us again," said Saran -- his tones were well modulated, but ugly. Then he stepped back into the closet and closed the door.
Nariva, her head upon one side, listened for a moment, then, almost fiercely, she pressed the back of her hand to her eyes, as one in pain. "I can't! I can't!" she murmured.彼は外へ出て、空中タクシーのタワーにむかって、半ブロックほど歩いた。そして、エレベーターで、プラットホームへ上がっていった。ここで、彼は、空中タクシーを止めて、一瞬ののちには、クッションのきいた座席でくつろぎ、彼の簡潔なソーンタワーへという命令に答えて、飛行艇が、青空をまるで切り裂くように進み、彼のまわりの空中交通のうずが、あっというまに、消えさるのを見ていた。
下にひろがる、ニューヨークの下部にあたる巨大な中心地は、3400万人もの人々が住んでいる半マイルの高さのビルディングをかかえていて、いつも、彼の注意をひいていたのだった。この地球上で、もっとも巨大な都市は畏敬の念を吹き込んでいた。そしてまた、ヨーロッパやアジアと違い、科学は充分に供給され、100年もの間、アメリカには、戦争がなかった。アメリカは、難攻不落だった。すなわち、民主主義と科学は、ともに、攻撃をうけることがなかった。
さらに、3400万人のほとんど大多数は、しあわせで、満足していた。それにもかかわらず、無理に立ちいって、丹念に、調べる必要がある要素はあった。これは、秘密諜報機関の特別任務だった。ちょうど、このような要素が、今、マックリン・ドノヴァンに立ちはだかっている状況だった。ソーンは、何百万という富をもっている男。そして、サランは、ひとつの目的をもっている男。その目的とはなんだ? アメリカの民主主義は、このような質問の答えを知ることを必要としていた。
空中タクシーは、ついにある高い塔についた。それは、持ち主の富のほとんどを物語る以上の高さがあった。近辺にあるほかのタワーのうち、ただひとつしか、それに匹敵しなかった。そして、それは、1マイル離れたところにあった。2つの石と鉄でつくられた尖塔は、低い雲をつらぬいて、まわりの彼らよりおとった巨大な塔たちを、小さく見せていた。
マックリン・ドノヴァンは、屋上の発着場で降りると、タクシーを捨てた。そして、彼は華麗で、豪華に建てられたペントハウスの方へ歩きだした。その建物の尖塔でさえ、飾り立てられていた。
ドノヴァンは、従僕によってあけられたドアに近づくと、ちょうどそのむこうに、グリーヴスを、見た。彼は、客の帽子をとるために、前へ進み、腰を低くして、おじきをした。低すぎるじゃないか、秘密諜報機関の男は思った。
「ありがとう」ドノヴァンは、そっけなく、答えた。図書館の戸口で、彼は、急にふりむくと、彼を見つめるグリーヴスの目を見た。すぐに、執事は、向きを変えて、立ち去った。若者の顔は、部屋に中に入ったとき、しかめっつらを、していた。
「まあ!」背の高い金髪の若い女性が、叫んだ。「この世の中の何が、私たちの小さなマッキーをいらだたせているのかしら?」
ドノヴァンは、彼の方を見ているほかの者たちに、笑いかけた。
「とっても、楽しい気分ですよ!」彼は、その女性にうけあった。「太陽がまぶしくて、午後中、陽射しから目を守るために、しかめっつらを、していたのです。だから、まだ、私の顔は、ちゃんとしていないのですよ」
ジョン・サランは、彼にむかって、部屋の反対側に立っていた。ドノヴァンは、はっきりと気付いた。サランの目は、彼からそれて、ほかの図書館にいる者たちのように、彼を見ていなかったことを。彼は、部屋の中へ進むと、ポケットから、シガレットケースを取り出した、そして、彼のうしろの床にそれを、落とした。彼の不器用な失敗に笑い声がおきて、彼は、いそいでふりかえって、ケースをひろいあげた。そして、戸口の方をすばやく、さっと見ることができた。グリーヴスは、玄関の広間の影のところに立っていて、指をあげていた。ドノヴァンは、まだ笑ったままで、部屋のほうに、ふりかえったが、どうしてなのか理由がわかった、ただひとりの人間だった。
「我々は、明日、スリーゲイブルズに、もどるつもりですよ。マックリン」彼の滞在先の主人は、そう告げた。「ジェネヴァイブが、夏のニューヨークは、もうたくさんだと言うのでね」
「私は、彼女があなたにつれていってくれるようにたのんで、うまくやるようすが、少しだけ、想像できますよ」ドノヴァンは、笑いながら答えた。「あなたは、我々といっしょに、もどりませんか?」
年かさのソーンが、うなずいた。「すべて私の仕事しだいだよ。そしたら、喜んでこの暑さからのがれることにしよう」
「ふん!」 彼の妹のミス・ユーフォニア・ソーンは、叫んだ。「あなたは、少しも仕事をはたしてなくってよ。どうして、1年のこんな時期に、私たちみんなを、世界中のうちで、ここにひっばりこむのを、あなたが、のぞんだのか、まったく私の限界をこえるわ。私たちは、なんの、むくいも受けていないのよ。少しもね!」
「私は、おまえを、ひっばりこんではいないよ。ユーフォニア。実のところ、私はおまえを,説得して来るのをやめさせようとしたのだから。私は、おまえが、夏のシティーをどんなに嫌っているか知っているからね。それに、私の仕事についていえば、私は、仕事の速い人間なのだよ」彼は、笑いながら、付け加えた。「今夜、おまえが、ベッドに休んだあとで、最終段階をしあげてしまうだろうよ」
彼は、サランを、ちらりと見ると、再び、だまりこんだ。ドノヴァンは、アシュリア人が、そのくぼんだ陰気な目から、すばやい警告を発したのだと、確信した。
「ところで」ミス・ユーフォニアは、立ち上がりながら、鋭い口調で言った。「私は、夕食のために、着替えに行くわ。のこりの人たちもそうしたほうが、いいと思うわ」
「なぜですか? まだ、4時30分ですよ。フォニーおばさん」パーシー・ソーンは、言った。
「何時かなんてことは、かまわないわ。それに、私のことを、フォニーおばさんなんて呼ばないでちょうだい。それは、下品で、失礼ですよ。もし、あなたのおじい様が、生きてらっしゃったらねえ。そうは言っても・・」
「そうは言っても、彼はもういないですからね。おばさん、タバコを持っていますか?」
「あなたは、私が、けっしてタバコを吸わないことを、知っているはずですよ。あれは、非常に、非科学的で、有害です。あなたは、私を、わざといらいらさせることを、質問しているわね。私は、そんなけがらわしい習慣は、身に付けたことはありませんよ」
「僕は、あなたが、これまで、いかなる堕落した習慣を見につけたことがなかったのを、知らなかったのですよ。でも、そうは言っても、このごろ、このかしこい甥は、彼自身のおばさんのことを、よく知ってきたでしょう」
その骨ばった小さな女性は、威厳をもって、戸口の方へ進んでいった。そして、その近くまでくると、彼女は振り返り、彼女の兄に顔をむけた。
「メイスン」 彼女は告げた。「私は、これ以上侮辱されて、とどまるつもりはありませんよ」
彼女の兄は、寛大に笑った。「ユー、夕食で会おう」
彼は、後ろから、彼女に呼びかけた。
「あなたは、今はもう、こっそりタバコがすえますよ。ジェネヴァイブ」パーシーは、背の高い、ブロンドの女性に言った。
「私は、すうのを、やめたことなくってよ」肩をすくめてその若い女性は答えた。「私は、あなたのユーフォニアおばさんの言うことを真に受けていないもの」
「誰も、彼女には反対できないのさ」若者は、答えた。
「私は、ときおり、あなたが、タバコをやめてくれたらと、思いますよ。ジェネヴァイヴ」彼女の母はたしなめた。「ナリヴァは、タバコをけっして、吸わないもの。古い習慣が完全に復活した国からきたというのにね。でも、彼女は、充分にしあわせですよ」
「だけど、私は、タバコを吸うことを、楽しめないのよ」ミス・サランは言った。「もし、私が吸うのが好きだったら、きっと、たばこを吸うと思うわ」
背の高いミス・グラソックは、彼女の椅子から、けだるそうに立ち上がり、ドノヴァンのそばへ、歩いていった。
「あなたは、私が、タバコを吸いすぎると思う? マッキー」彼女は、嬉しそうに、彼の腕に、やさしく手をかけて訊いてきた。
グラソック夫人は、にこにことほほえんだ。
「まあ、この子たちときたら!」 彼女は、叫んだ。「マッキーが、それはだいじょうぶと考えるかぎり、私が何を考えようが、ほかの誰が何を考えようが、かまわないのですからね」
もし、彼女が悩みをほのめかしているつもりなら、それは、まったく説得力がないとしかいえなかった。
マックリン・ドノヴァンは、あきらかに、少し落ち着かない様子を見せたが、すぐに、それを笑いでごまかした。パーシー・ソーンは、うんざりとして、いらだっている様子を見せた。それが、しょんぼりしているように見えたので、ビーボディ・グラソック夫人は、とるにたらないことだと、思い込んだが、彼女は、パーシー・ソーンが、彼女を見ていることさえ、わからなかった。
ドノヴァンは、かれのそでに置かれている、ジェネヴァイブの手をなでた。
「私は、あなたが、なにもやりすぎているとは思いませんよ。ジェン」彼は、彼女に請合った。
サランは、すばやい視線を彼の娘なげかけ、彼女のひとみを捕らえた、そして、こっそりと、非常に意味ありげな目つきを、ミス・グラソックと、ドノヴァンに向けた。ナヴァ・サランは、単に、彼女の繊細なまゆを、あげただけだった。
しばらくして、3人の女性は、着替えをしに、彼女たちの部屋にもどった。サランは、まもなく中座して、すぐそのあとを、年かさのソーンが、続いた。すると、パーシー・ソーンは、ドノヴァンの方をむいた。
「こっちを、見ろよ! マック」彼は、言った。「君と、ジェンの間には、何かあるのか? 僕は知りたいんだ」
「なにもないよ。君はねえ、馬鹿だねえ、もっとも、何百万というドノヴァン一族をのぞいてだけどね」その話し手は笑った。「君は、見なかったの? 彼女は、僕のことなんか、ちっとも気にかけちゃいないさ。彼女のママがけしかけているだけだよ」
「僕は、彼女が君を愛していると思っているよ」ソーンは、主張した。
「僕の本当のことを、知ったときの、彼らが見てみたいよ」ドノヴァンは言った。
「お年を召したレディについては、君が正しいさ。彼女は、父の銀行の札束をねらっているのだもの。でも、ジェンは、違うよ。彼女は、忠実な人だよ。マック。彼女は、誠実な人なんだ。そして、彼女は、僕のもっともよい友達の一人に恋をしているのを見て、僕はうちのめされたところさ」
「やれやれ、君は、君の友達を知るべきだよ。パーシー。もし、彼らが、ジェンの友人にふふさわしくないのなら、君は、彼らをつれてくるべきではなかったよ」
「冗談はよしてくれ! 僕は、彼女を愛しているんだ。でも、君はそうじゃあない。少なくとも、君はそう言ってる。でも、僕には、それで、君が助けてくれるかどうかは、わからない。そして、僕は、彼女を失いたくないんだ。僕は、第2ヴァイオリンなんかで、演奏したくはないよ」
「心配するなよ。パーシー。ぼくのあてがはずれないかぎり、それは、長続きしないよ。ことは、あっというまに、熟してしまうよ。何時間もかからないうちに、たくさんのことを、知ることができる考えがあるんだ。そしてそれがうまくいけば、その時には、僕はいそいで、立ち去ることができるし、僕のくさるほどの何百万もの富をもってしても、君の恋愛関係を、だいなしにすることはないよ」
「金じゃあないんだよ。マック。彼女は、君に恋をしているのだと、僕は恐れているのだ。そのことに関する限り、僕は充分すぎるほど、金は持っている。でも、彼女は、君が近くにいると、僕のことを、見ようとさえ、しないのだ」
「君は、ママがそばにいるときのことを、意味しているのだろう」ドノヴァンは訂正した。「スリーゲイブルズや、ママが、いつも見ていなかったヨットでは、彼女が、君に熱い視線をむけて、接していたのを、僕は見たけどな」
ソーンは、彼の頭をふった。
「君が正しいことを、望むよ」彼は言った。「でも、君は間違っているよ。さあ、行こう。上へあがって着がえよう」
彼は、立ち上がって、ドアの方へ歩いた。
「すぐに行くから、先に行ってくれたまえ」ドノヴァンは、答えた。「僕は、少し見回りたいのだ」
ソーンは、うなずくと、2階から降りてきた、大きな図書館に通じる階段を上っていた。 彼が立ち去ったあと、ドノヴァンは、いそいで、ホールに通じる出入り口の方へ歩いていった。彼は、図書館の反対側にある厚手のカーテンを動かしたが、ホールは暗く、ドノヴァンには、なんの変化も見えなかった。彼の注意が、階段の上の方からした軽やかな足音にひきつけられた時、彼は、やっと、出入り口についたところだった。 いそいで、ふりむいた彼は、ナリヴァ・サランが、降りてきたところを、見た。 彼女は、彼がふりむいたと同時に、もう少しで立ち止まりそうになった。 しかし、すぐに、また、そのまま下の方に降りてきた。 彼は、彼女を、驚かしたのだろうか? もし、彼が彼女に気づかなかったら、彼女は、そのまま引き返していただろうか? 彼は、思い悩んだ。
「ああ、ドノヴァン」彼女は叫んだ。 「私は、みんながもう自分の部屋に行ったと思ったのよ。だから、誰かに会うなんて思いもよらなかったの」 彼女は、上品に、頬を赤く染めた。
彼は、今、なぜ彼女が、気づかれずにもどりたかったのか、わかった。 彼女は、部屋着を着ていた。その、とても美しい創造物は、うっとりさせるほど、彼女の隠された愛らしさをひきたたせていた。 ドノヴァンは、彼女が降りてきたとき、階段の手すりをささえる棒に片手をおいたまま、ホールの出入り口に背をむけて立っていた。
「私は、ここに小さなバックをおいてきてしまったの」 彼女は説明した。 「それには、チケットがいくつか入っていて、なくしてしまうのではないかと、心配だったの。ああ、そこにあったわ」
彼女は、いそいで、前に彼女が座っていた椅子の方へ横切って行くと、小さな金色のバックをひろいあげた。 彼女が、再び、ドノヴァンがまだ立っている階段のところにもどったとき、ひくい段のところで、立ち止まった。
「あなたは、いそいで、夕食のために着替えに行ったほうが、よくってよ。ドノヴァンさん」 彼女は、かわいらしいアクセントで言った。「さもないと、遅れちゃうわよ」
彼女は、話すとき、小さな金色のバックをあけたり、しめたりして、もてあそんでいた。ドノヴァンは、彼女のまわりの、とても繊細で、快い香りに気づいた。
「なんて、素敵な香水なんだ」彼は言った。
若い女性は、ほほえんで、再びバックをあけた。「ええ」彼女は、なかから、宝石をちりばめた小さなガラス瓶をとりだして、彼の顔の方にむけて持ちながら言った。
「これは、とてもすばらしいの。アシュリアの科学の支配者が、暗殺される前に、これを、くれたのよ。私の、私の父の友達のひとりに。 世界中でも、このようなものは、もうないわ。 それは、とても古くて、まだ一度も栓をあけたことがないのよ。 でも、それは、出逢うものなんにでも、においが、染みとおるの。私は、ちょうど今日、私のトランクの中から、持ってきたのよ。あなたは、前には、それに気づかなかったの?」
「この部屋は、たばこの煙がすごかったからだと思うよ」彼は、答えた。 突然、彼は、彼の手を彼女の手の上に、かさねた。 「僕は、今日の午後、言いたかったんだ。でも、そのときは、言えなかった。 君が、タバコをすっていなくて、僕は、嬉しいよ」
ほんの少しの間、彼女の目に熱望した光が輝き、そして、彼女は、後ろにさがった。
「私は嬉しいわ」彼女は静かに言った。「したいことを、させてもらえるなら、ドノヴァンさん」
「お願いだ。ああ、ナリヴァ、君は、知っているはずだよ」 彼は、突然、彼の近くに彼女をひきよせた。 「君は、わかっているはずだよ。僕が・・」
すばやく、彼女は、冷たくてやわらかい、手のひらで、彼の唇をさえぎった。 「やめて」彼女は、叫んだ。彼女の目は、おびえていた。
玄関の反対側にある厚手のカーテンが揺れた。ドノヴァンの後ろにあるカーテンが。
彼は、彼女を抱きしめた。
「君を愛している」 彼は、まるで、おこっているみたいに叫んだ。 「君は、そのことを、知っているはずだよ。君は、知っているはずだ。 僕のことは、愛していないの?」
彼女は、彼の体を、むりやり離しのがれた。
「私は、あなたを、愛しています」 彼女は、叫んだ。 しかし、彼女の目と声には、恐怖の色があった。 彼女は、むきをかえ、階段を上り逃げさってしまった。
ドノヴァンは、しばらくの間、困惑した目で見送っていたが、彼の手のひらで、首のうしろを、ゆっくりとなでて、彼の部屋のほうへ、階段をゆっくりと降りて行った。
「彼らのことを、もっとよく調べたいのなら、彼らのことを、よく知らない方がいい」
彼の後ろのベットルームのドアを閉めながら、独り言をつぶやいた。
その家の端の反対側で、ホールのもう一方にある部屋では、ミス・グラソックのメイドが、彼女の女主人の髪を整えていた。そして、その間、グラソック夫人は、顔をパフでたたきながら、鏡台の前にすわっていた。
「あなたの年頃だったら、私はとっくの昔に彼をものにしていたわよ。」 グラソック夫人は、言っていた。 「最近の若い女の子は、このようなことで、巧妙な計略というのに欠けているんじゃあないの」
彼女の娘は、白い肩をすくめた。
「私は彼が欲しくないもの。」彼女は答えた。 「私は、パーシーが欲しいの。ソーン家の何百万で、充分よ。」
「ジェネヴァイブ、あなたは、次元が低いですよ。」彼の母親は、きびしくしかった。 「とにかく、私がソーンと結婚したら、彼が死んだ場合の未亡人が相続する遺産の権利以上のものは、なにも期待できないわ。だって、パーシーが、財産の大部分を相続するでしょう。その間に、ドノヴァンは、一人っ子だって聞いたけど、彼の父親の財産を全部相続するのでしょうね。何億もの・・」
グラソックたちのところから、ホールの向こう側では、ナリヴァ・サランが、鏡の前で顔をしかめながら、立っていた。 彼女のクローゼットの入り口には、ジョン・サランが立っていた。 彼も、また、顔をしかめていた。
「それで、お前は、彼を手に入れたのか」 彼は、低い声で、せめるように言った。
その女性は、返事をしなかった。
「二度と我々を失望させるな。」サランは、言った。口調は変えられたが、不機嫌なままだった。 そして、彼は、クローゼットの中へあとずさりして、そのドアを閉めた。
ナリヴァは、ある方向をむいて、しばらく、耳をそばだてていたが、ほとんど荒々しいともいえるしぐさで、痛みを感じるほどに、手の甲に彼女の目をおしつけた。
「私には、できないわ。私には、できないわ。」彼女は、つぶやいた。