Illustrated by Hisao Saitoh
関口幸男:訳/斉藤寿夫:画/早川書房/ハヤカワ文庫SF92/1973.05.31初版/282頁
story/あらすじ
第13号――ボルネオ沿岸の一孤島で、マクスン教授により創造された人造人間である。だがそれまでに誕生した化け物とは違う、筋骨たくましく整った顔立ちの美丈夫だ。人間としての意識を持つ彼はふとしたことから教授の一人娘ヴァージニアと恋に落ち、自分の正体を打ち明けられぬことに苦しむ。そして彼女が教授の財産を狙う悪漢どもにさらわれるや、敢然密林の奥深く必死の追跡行を開始するが……。昼なお暗いジャングルに次々襲う危機また危機! はたしてふたりの恋の行方はいかに……!? 巨匠バローズ久々の異色冒険活劇!
chapters/もくじ
characters/登場人物
| マクスン教授 | 生物学者 | 
| ヴァージニア | 教授の娘 | 
| カール・フォン・ホルン | 教授の助手。医師 | 
| シン・リー | 支那人の料理番 | 
| ブドゥドリーン | 航海士 | 
| ムダ・サフィア | マレー人 | 
| バルンダ | ダイヤク族の族長 | 
| ニナカ | |
| メイ | 海軍大尉 | 
| 〈第十三号〉=ブラン | 教授に作られた人造人間 | 
history/初出
A Man Without Soul,Nov.1913,All Story Magazine
"The Monster Men",1929,McClurg
comment/コメント
これも、読んだのは実は創元版の方のみ。斉藤氏の絵も悪くはないが、やはりERBといえば武部本一郎だよなあ、というわけで、ちょっとかわいそうな感じもある。フランケンシュタイン・テーマで、(書かれた時代から見て)現代の地球上が舞台というノーマルさゆえ、アイディア的には『火星の合成人間』と同種とはいえ、独特の情感もあって、いい。最後のどんでん返しは陳腐だし、肝心のテーマから逃げている感もあって凡作といってよい出来なんだろうけど、バローズだと許せるから不思議だよな。