厚木淳:訳/武部本一郎:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-30/1978.12.22初版/243頁
story/あらすじ
天才的な生物学者マクスン教授はボルネオ沿岸の小島に研究所をつくって、つぎつぎと人造人間を開発していった。1号、2号、3号。しかし彼らはいずれも奇形な怪物ばかりだった。ところがついに13号にいたって、教授は初めて完全無欠の男性の創造に成功した。しかしその頃、凶暴な首狩り族をひきいる酋長が、教授の美しい一人娘を誘拐する機会を狙っていた。赤道直下のジャングルの中に展開する陰謀と背信と殺人。魂のない13号の不滅の恋と、終局の大逆転劇が読者に興奮と感動を与えるバローズ会心のSF!
chapters/もくじ
characters/登場人物
マクスン教授 | 生物学者 |
ヴァージニア(リニー) | その一人娘 |
フォン・ホルン | 教授の助手 |
シン・リー | 中国人コック |
バドドゥリーン | マレー人の航海士 |
ムダ・サフィール | マレー人の酋長 |
バルンダ | ダイヤク族の族長 |
ニナカ | |
メイ | 海軍大尉 |
13号(ブラン) | 教授が創った人造人間 |
history/初出
A Man Without Soul,Nov.1913,All Story Magazine
The Monster Men,1929,McClurg
comment/コメント
ぼくが読んだのは、この創元版のほう。このころ(晩年)の武部本一郎の中でも、絵の出来はいい方だろう。特に口絵がすばらしい。内容的にも、謎の導入部から、すべての謎が解けるラストまで、一気に読ませる筆力はさすが。早川版のコメントではチープな作品と書いたが、それはそれとして事実ながら、充実したいい仕事をしていた時期でもあったと思う。蛇足ながら、雑誌掲載時のタイトルの方が内容にはあっているように思うのだが、キリスト教徒(の読者)にはどぎつすぎるタイトルだ、とでも思われたのかな。