Illustrated by Motoichiro Takebe
厚木淳:訳/武部本一郎:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-29 /1978.10.27初版/334頁
story/あらすじ
西暦2036年、月より無事生還したジュリアン5世を待っていたのは、軍備を捨てて無防備となった地球だった。やがて月人の大軍が襲来し、世界中を席巻しはじめ、ついに人類が月人の前に屈する日が来た。かくして地球の文明は灰燼と帰し、わずか瓦礫の山にその痕跡をとどめるにいたる。月人による無知と暴虐の圧制の下、奴隷のごとく蹂躙される地球人。その長い暗黒時代の果て、人類の誇りをかけてジュリアン9世は立ち上がった! 舞台を地球に移して描く人類と月人との闘争の未来史。波瀾万丈の月シリーズ完結編。
chapters/もくじ
月からの侵略
- 不思議な出会い
 - 集税吏スール
 - 〈地獄犬(ヘルハウンド)〉
 - 兄弟オル=ティス将軍
 - 市の日の格闘
 - 軍法会議
 - 裏切られて
 - ジュリアン八世の逮捕
 - カッシュ・ガードの士官を鞭打つ
 - 革命
 - 屠殺屋
 
レッド・ホーク
- 〈旗〉
 - 大移動
 - 最後の決戦
 - 〈首都(キャピトル)〉の廃墟
 - 海
 - ニッポン人サク
 - ベセルダ
 - 巨人ラバン
 - 和解
 - 平和
 
characters/登場人物
| 「月からの侵略」 | |
| ジュリアン九世 | 本編の主人公 | 
| ファンナ | その恋人 | 
| ジム | ジュリアン家の隣人 | 
| モリー | その妻 | 
| ピーター・ヨハンセン | 卑劣な男 | 
| モーゼズ・サミュエルズ | 老ユダヤ人 | 
| スール | 新任の集税吏 | 
| プサヴ | 御用商人 | 
| ホフマイヤー | プサヴの代理人 | 
| オル=ティス | 新任の司令官 | 
| 「レッド・ホーク」 | |
| ジュリアン二十世 | レッド・ホーク。大酋長 | 
| ヴァルチャー | その弟 | 
| レイン・クラウド | |
| ベセルダ | オル=ティスの妹 | 
| サク | ニッポン族の族長 | 
| ラバン | カルカールの巨人 | 
history/初出
The Moon Maid,1926,McClurg
comment/コメント
第2部のラスト・シーンのショックは、今でも覚えている。バローズらしからぬ、といって失礼ならば、意欲的な設定、主張、ストーリイ、そしてラスト。単純におもしろくは読めない、数少ないERB。それだけに、第3部は爽快だ。三部作としたバローズの識見は高い。それだけ、この第2部を世に出したいという気持ちが強かったのだろう。個人的には、第3部での、地球の重力に関する問答がおもしろく、印象に残っている。