Illustrated by Seikan Nakajima
佐藤高子:訳/中島靖侃:画/野田昌宏:解説 早川書房/ハヤカワ・SF・シリーズ3120/1966.08.20初版/178頁
story/あらすじ
鉱山主デヴィッド・イネスと老技術者ぺリーは、新たに開発した地下試掘機『機械もぐら』の性能をテストすべく、地底世界へ実験旅行をこころみた。『機械もぐら』は全長30メートルの鋼鉄製のシリンダーで、先端に備えつけられた強力な回転ドリルによって地底を進行する革命的なサク岩装置だった。だが二人を乗せた『機械もぐら』は舵の故障で、地底へ垂直に掘り進んでいったのだ!すでに温度は摂氏76度に達し、溶融した地球の内部に接近しつつあった。死は目前に迫っていた―と思ったとき、『機械もぐら』は〈外〉へ出た……なんと地球の内部は大空洞だったのだ!彼らは地殼をつき抜けて、地底世界〈ペルシダー〉にたどりついたのである。
それは夜もなければ時間もない、なんとも奇妙な世界だった。空洞の中心にかかっているガス状の発光核が、常時不変の白昼の光と炎熱をつくり、周囲はびっしり生い茂った大森林、その中に大怪獣や猿ともゴリラともつかぬグロテスクな人類が住んでいた。――二人はその白昼夢の世界で生きることを強いられたのだ……。
『火星シリーズ』『金星シリーズ』とならぶバロウズの古典的SF『ペルシダー・シリーズ』の第1弾!
chapters/目次
プロローグ
characters/登場人物
デヴィッド・イネス | 鉱山主 |
アブナー・ペリー | 老技術者 |
美女ダイアン | マハール族の捕虜 |
毛深い男ガーク | |
狡猾な男フージャ | |
醜男ジュバル | |
強者ダゴール | ダイアンの兄 |
ジャ | メゾプ族の男 |
history/初出
At the Earth's Core,Apr.1914,All Story Weekly Magazine
At the Earth's Core,1922,McClurg
comment/コメント
ついに手に入れたハヤカワ・SF・シリーズ版ペルシダー・シリーズ。文庫本を縦にのばしたような、ほぼ新書サイズの版型で、これが地底世界シリーズ本邦初お目見え、ということになる。読みたい、という方には、もう30年以上も昔のことで、叢書自体が廃盤になっているので入手は困難だろうから、無理せず文庫本を探すことをおすすめする。内容はハヤカワ文庫SF版と同一だから。違うのは表紙、解説、裏のあらすじ紹介くらい。もっとも文庫の方も現在は絶版。創元社のものも併せて探して、ぜひとも読もう。これは第1巻だけのことはあって独立して読めるし、これを執筆した時点ではERBも続編を書くかどうかは決めていなかったと見えて、ショッキングなラストを用意してあとはひきつつも一応の幕引きはしている。このあたりは〈火星シリーズ〉や〈ターザン・シリーズ〉と同じような手法だ。とりあえず第2巻との2部作の構成ではある。このあたりも同じ手法の繰り返し。というわけで、コメントも続きは第2巻にて。