地底世界シリーズ3 PELLUCIDAR series 3

戦乱のペルシダー
Tanar of Pellucidar(1930)

Illustrated by Seikan Nakajima

佐藤高子:訳/中島靖侃:画/野田宏一郎:解説 早川書房/ハヤカワSFシリーズ3158/1967.10.15初版/244頁


story/あらすじ

艱難辛苦の末に勝ち取った地底帝国ペルシダーの平和も、長くは続かなかった。獰猛なコルサール人海賊が襲撃してきたのだ。皇帝デヴィッド・イネスは棍棒を武器とする忠勇の戦士を引き従えてこれを迎え撃った。そして果敢な戦闘の結果コルサール人を撃退することに成功したものの、ペルシダー帝国は大きな痛手を被った。多くの戦士たちが捕虜として捕らえられ、敵国に連れ去られたのだ。その中に、皇帝デヴィッドと皇后<美女のダイアン>の寵愛を一身に受けていたひとりの若者がいた――勇敢なペルシダー戦士の中でも特に勇猛をもって鳴る若き戦士<疾風のタナー>だった。
だが、その赤銅色の若者タナーは、捕虜の身分に甘んじているような男ではなかった。恐竜と野蛮な地底人間がひそむ、道なきジャングルをかきわけて、タナーは一路故郷へ向かった――。
そのころデヴィッドは、タナーを救出すべく、小舟を漕ぎだして、大怪獣の住む未知の海へと乗りだしていた!
*
「地底世界ペルシダー」「危機のペルシダー」に次ぐ、地底世界を舞台にした波瀾万丈の大冒険物語!

chapters/もくじ

プロローグ
  1. ステララ
  2. 暴風
  3. アミオキャップ
  4. レタリ
  5. タンドールの猟人
  6. 愛の島
  7. 「コルサール人だ!」
  8. マウ
  9. 愛と裏切りと
  10. 追跡
  11. グーラ
  12. 「あなたなんかきらい!」
  13. 三人の囚人
  14. 二つの太陽
  15. 狂気
  16. 彼方の闇へ
  17. 海へ
エピローグ

characters/登場人物

デヴィッド・イネス 地底帝国ペルシダーの皇帝
アブナー・ペリー イネスの親友
ガーク イネスの第一副官
タナー ガークの息子
エル・シド コルサール人の首長
ステララ エル・シドの娘
血を好むボハール エル・シドの部下
バルフ
フェドール ステララの父
ズラル ラルの首長
レタリ ラルの少女
ザックス コリピーズのボス
マウ コピリーズ人
ジュード ハイム人
スカーヴ ガーブの首長
バラル スカーヴの息子
グーラ スカーヴの娘
フィット コルサール人、捕虜
ジャ アノロックの王
ジェイスン・グリドリー バロウズの友人

history/初出

Tanar of Pellucidar,Mar.-Aug.1929,The Blue Book Magazine
Tanar of Pellucidar,1930,Metropolitan

comment/コメント

 ERBワールドの狂言回し、ジェイスン・グリドリー登場。前作で行き詰まったERBは、極地に大穴があいていて、地底世界とつながっているというアイデアと出会い、これをヒントにかつて迷い込んだ北欧の海賊のエピソードを作り、これを続巻の前哨編とした。文明化されつつあったはずのペルシダーは再び石器時代のやすらぎを取り戻し、ERB好みの世界が再現されている。そして次巻ではいよいよ、グリドリー君がとんでもない人物を引き連れてペルシダーを訪問、ついに主役を張ることになる。
 HSFS版とハヤカワ文庫SF版は訳も解説も同じだが、あらすじはHSFSのほうが長く、登場人物の紹介も若干多い。表紙絵はアメリカ版ペーパーバックから人物のみを省略して描いてある。中島氏の手抜きなのか、センスなのか? よくわからないところではある。

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