Illustrated by Motoichiro Takebe
厚木淳:訳/武部本一郎:画/厚木淳:解説 東京創元社/創元推理文庫601-12 /1967.06.30初版/272頁
story/あらすじ
火星探検をめざして地球を出発したカースン・ネーピアは、軌道計算の失敗から金星に不時着してしまった。そこは太陽をさえぎる2層の雲に覆われた摩訶不思議の秘境、怪獣が跋扈し、翼を持つ鳥人が天空を駆ける別世界であった。快男子ネーピアはミンテップ王国とその革命軍との戦乱に巻き込まれて、王女ドゥーアーレーを救うべく、波瀾万丈の大冒険に乗り出すこととなった。不朽の名作「火星シリーズ」に続いてバローズが世に送る「金星シリーズ」の痛快な開幕!
chapters/もくじ
characters/登場人物
カースン・ネーピア | 地球人。本編の主人公 |
ミンテップ王 | 金星ヴェパジャの王 |
ドゥーアーレー | 王女 |
ダーナス | 王の命により一時カースンを預かる。大図書館長、王の侍医 |
デュラン | カースンがはじめて出会った金星人 |
オルザー | デュランの息子 |
キャムロット | 上同。カースンの友人となる |
ホーナン | ソーリストに捕えられたヴェパジャ人 |
ギャムファ | ソーリストの囚人。『自由の兵士』原隊員 |
キーロン | |
ゾーグ | |
ムースコ | ヤン号に乗っていたオンギャン(寡頭政治家) |
ビロール | ソヴォング号から救出された捕虜 |
history/初出
Pirates of Venus,Sep.7 to Oct.22,1932,Argosy
Pirates of Venus,1934,Burroughs
comment/コメント
インドで修行した主人公がロケットを建設して火星を目指す……ERBとしては後期の作品のせいか、かなり手慣れたというか、毒された感じでガジェットを配置している。主人公が老いないのは不老不死の薬があるからだとか、金星(アムター)語のアルファベットや世界観を紹介したりとか、異世界づくりも手慣れたもので、手慣れすぎていて初期の作品に充満していたおどろおどろしさというか、ねっとりしたゴッタ煮感がない、かなり薄味のシリーズ発端編になってしまっている。カースン・ネーピアが全然強そうじゃないのも、珍しい設定といえるか。ERBの政治趣向が匂う作品。