火星シリーズ2
MARS series 2


火星の女神イサス
The Gods of Mars(1918)


Illustrated by Motoichiro Takebe

小西宏:訳/武部本一郎:画/用語辞典 東京創元社/創元推理文庫601-02/1965.11.19 初版/367頁

この本の表紙絵は権利者である故武部本一郎夫人・武部鈴江さんの許諾により転載しています

story/あらすじ

 10年の空白の後、永遠の恋人デジャー・ソリスを求めて再度、火星に飛来したカーターの到着地点は、古来、火星人のあこがれのまとである地上の楽園、イス河の秘境であった。しかし、この楽園は実は恐るべき地獄だった。吸血口のついた手を伸ばして襲いかかる植物人間と獰猛な大白猿、彼らをあやつる白色人と謎のブラック・パイレーツ。生と死をつかさどる火星の女神イサスに敢然として挑戦するジョン・カーターと豪勇無双の僚友緑色人皇帝タルス・タルカスの運命は?

chapters/目次

  1. 植物人間 The Plant Men
  2. 森の中の戦い A Forest Battle
  3. 神秘の部屋 The Chamber of Mystery
  4. スビア Thuvia
  5. 恐怖の回廊 Corridors of Peril
  6. ブラック・パイレーツ The Black Pirates of Barsoom
  7. 美しき女神 A Fair Goddess
  8. オメアンの深淵 The Depths of Omean
  9. 永遠の生命の女神、イサス Issus, Goddess of Life Eternal
  10. 流刑の島シャドール The Prison Isle of Shador
  11. 地獄の崩壊 When Hell Broke Loose
  12. 死か生か Doomed to Die
  13. 自由のあけぼの ABreak for Liberty
  14. 闇に光る目 The Eyes in the Dark
  15. 逃亡と追跡 Flight and Pursuit
  16. 囚われの身 Under Arrest
  17. 死刑宣告 The Death Sentence
  18. ソラの話 Sola's Story
  19. 地下牢の絶望 Black Despair
  20. 空中戦 The Air Battle
  21. 火攻め水攻め Through Flood and Flame
  22. 勝利と敗北 Victory and Defeat

characters/登場人物

ジョン・カーター 地球人。赤色人の帝国ヘリウムの皇帝(ジェダック)タルドス・モルスの孫娘、デジャー・ソリスの夫
タルス・タルカス 緑色人。サーク族の皇帝(ジェダック)。ジョン・カーターの親友。カーターを求めて巡礼の旅に出た
カーソリス カーターとソリスとの息子
スビア 赤色人。サーン族に囚われた美しい女奴隷
イサス 地底の都ホーリー・ランドを支配する生と死の女神
ファイドール 白色人。ホーリー・サーンの教皇マタイ・シャンの娘
ゾダール 黒色人。ブラック・パイレーツ、ファースト・ボーンの貴族
カントス・カン 赤色人。ヘリウム帝国海軍総司令官
ホル・バスタス 赤色人。ヘリウム帝国の貴族
ザット・アラース 赤色人。ゾダンガの王(ジェド)

history/初出

The Gods of Mars, Jan.-May,1913, The All-Story
The Gods of Mars, 1918, A. C. McClurg

commento/コメント

 『火星のプリンセス』だけでも十分完成度の高い作品であったが、それだけに本作は、バローズが、そして火星シリーズが、すぐれたエンターテインメントへと発展していくための試金石となった1冊といえるだろう。
 物語としてはゴッタ煮で洗練されてはいないが、『火星のプリンセス』で構築した独特の世界観を引き継いで、数々の異人種や異性物、ガジェット類を登場させ、異世界冒険ファンタジーとして完成させていく礎石となった作品である。

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