火星の秘密兵器
A Fighting Man of Mars(1931)
Illustrated by Motoichiro Takebe
厚木淳:訳/武部本一郎:画/火星用語辞典 東京創元社/創元推理文庫601-07 /1967.07.28初版/368頁
story/あらすじ
ヘリウムの美女がある夜、国籍不明の快飛行艇によって誘拐された。ハストールの戦士ハドロンは、恋人の捜索のために故国をあとにした。恋人が誘拐された先は強国ジャハールであり、その皇帝は秘密兵器を開発して、火星全土の征服に乗りださんとしていることを彼はつきとめた。その秘密兵器とは金属分解光線ライフルであり、この威力の前には火星の大元帥がひきいるヘリウムの大艦隊もひとたまりもあるまい。ヘリウムと恋人の危機を救うべく、見えない飛行艇に乗りこんで超人的な活躍をする勇士ハドロン!
chapters/目次
characters/登場人物
タン・ハドロン | ハストールの戦士、本編の主人公 |
トール・ハタン | ヘリウムの将軍、富豪 |
サノマ・トーラ | トール・ハタンの娘 |
トゥル・アクスター | ジャハールの皇帝 |
カル・タヴァン | トジャナスからきた奴隷 |
タヴィア | トゥル・アクスターの女奴隷 |
ヌール・アン | ジャハールの貴族 |
フォル・ターク | ジャハールの大科学者 |
ファオ | ヌール・アンの恋人 |
ジョン・カーター | 火星の大元帥 |
history/初出
A Fighting Man of Mars,Apr.-Sep.1930,The Blue Book Magazine
A Fighting Man of Mars,1931,Metropolitan
comment/コメント
ご存じERBランドの連結人間ジェイスン・グリドリーが「まえがき」に登場する。彼の発見したグリドリー波が火星との交信を実現したという設定で、グリドリーがペルシダーで冒険しているあいだ(『地底世界のターザン』参照)、ERB自身がユリシーズ・パクストンに聞いたはなしということになっている。楽屋落ちといってしまえばそれまでだが、たとえば手塚治虫のマンガに共通したキャラクターが登場するように、こういったお遊びはファンにとってはうれしい演出でもある。バローズ自身も楽しんでいるのだろうということが、よく伝わってくる。表紙のタヴィアはERBがうんだヒロインの中でも人気の高い男装の美少女。かわいくてけなげな感じが描かれていて、いい感じだ。
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