地底世界シリーズ2 PELLUCIDAR series 2

危機のペルシダー
Pellucidar(1923)

Illustrated by Shuji Yanagi

佐藤高子:訳/柳柊二:画/野田昌宏:解説ペルシダー百科事典 早川書房/ハヤカワ文庫SF019 /1971.02.28初版/291頁


story/あらすじ

 ふとしたことから迷い込んだ地底大陸ペルシダーに、敢然、幾多の苦難を乗り越え一大帝国を築き上げた勇者イネス−だが、不覚にも狡猾な男フージャの奸計にあい、単身地上へ戻らされたことに気づいた彼は、あとに残した最愛の妻ダイアンと親友ペリーの身を案じて、再び「機械モグラ」で地底へとって返した。しかしその時すでに、ペルシダー帝国は悪辣獰猛な怪物爬虫類マハール族の逆襲を受け、またもや血腥い戦乱の巷と化していたのだ!

chapters/もくじ

プロローグ
  1. ペルシダーに帰る
  2. 恐怖の旅
  3. 雲の山々
  4. 友情と裏切り
  5. 奇遇
  6. 宙に浮かぶ世界
  7. 一難去ってまた一難
  8. 囚われて
  9. フージャの軍勢現る
  10. 洞窟牢襲撃
  11. 逃走
  12. 誘拐!
  13. 生命がけの遁走
  14. 流血と夢と
  15. 征服と平和

characters/登場人物

デヴィッド・イネス 地底帝国ペルシダーの皇帝
アブナー・ペリー イネスの親友
美女ダイアン イネスの妻
毛深い男ガーク イネスの第一副官
グールク スリア族の長
コーク グールクの息子
ジャ メゾプ族の長
ジュアグ イネスの友人
狡猾な男フージャ イネスに敵対する男

history/初出

Pellucidar,May.1915,All Story Cavalier Weekly Magazine
Pellucidar,1923,McClurg

comment/コメント

 ラストの、バローズ流原始共産性(?)というか、文明化されつつあるペルシダーの姿に重ねたERBの思いを推し量ってみたいものだ。彼の本意は石器時代と現代との融合にあるはずなのだが。こんな脳天気なユートピアでよいものか? という気もしなくもない。このあと、ERBはしばらく(14年間も!)ペルシダーものを書かなくなり、次巻、ジェイスン・グリドリーとともに登場したあと物語はリスタートすることになる。してみると、この2部作はもちろん導入部なわけだが、本来はこれきりというか、バローズの中では終わってしまったはずの物語なのかもしれない。ERBが書きたいものが何か、明確になってきたとき、地底世界シリーズは再び息を吹き返す、というわけだ。

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