Illustrated by Motoichiro Takebe
高橋豊:訳/武部本一郎:画/森優:解説 早川書房/ハヤカワ文庫特別版SF102 /1971.10.31初版/364頁
story/あらすじ
文明の光を求めて故郷のジャングルをあとにしたターザン。だが醜い争いを繰り返す人間を目の当たりにするうちに、彼はかつての自由で幸福な日々の思いを馳せるのだった。そんな彼にとって忘れられないひとつの思い出――密林に燃え上がったジェーンとの激しい恋は愛し合いながらも別れた悲しみの傷となって今も彼の心から消えることがない。おりしも国際スパイ事件に巻き込まれたターザンは、フランス国防庁の特務官としてアルジェリアに渡る。そして、その灼熱の地アフリカの大自然の中、奇しき運命の糸に結ばれたかれと恋人は、再び巡り会うのだった! 巨星バローズの放つターザン・ブックス第2弾!
chapters/目次
characters/登場人物
ターザン ジャングルの野生児 ラウル・ド・クード伯爵 フランス政府の高官 オルガ ラウルの妻 ニコラス・ロコフ ならず者 アレックス・パウルヴィッチ ロコフの相棒 ポール・ダルノー中尉 ターザンの親友 ウイリアム・セシル・クレイトン グレイストーク卿。ターザンのいとこ ジェーン クレイトンの婚約者 アーキミーディス・Q・ポーター教授 学者。ジェーンの父 サミュエル・T・フィランダー ポーターの秘書兼助手 ジェラール大尉 アルジェリア騎兵隊の士官 ジェルノア中尉 アブダル ターザンの従僕兼通訳 カドゥル・ベン・サデン 南の砂漠の部族の長 シディ・エッサの踊り子 カドゥルの娘 テニングトン卿 クレイトンの友人 ヘイゼル・ストロング ジェーンの親友 ブスリ ワジリ族の戦士 ラー オパルの女司祭長
history/初出
The Return of Tarzan,Jun.-Nov.1915,All-story magazine
The Return of Tarzan,1915,A.C.McClurg
comment/コメント
「オールストーリィ」誌から買い取り拒否されたといういわく付きの1冊。なるほど、第1巻とは趣も違うし、少ない登場人物が限られた世界の中でご都合主義的に関わり合っていて、ストーリィの展開としては安易というか、急ぎすぎているというか、整理されていないところがあって、もう一工夫、手を加えて欲しかったという感じの物足りなさは残るが(特に後半)、第1作で築き上げたターザンという人物設定を長丁場のシリーズにも耐えうるものへと成長させる上で欠かせない1冊にもなっている。そういった意味では、この巻でターザンは完成したといっても過言ではないかもしれない。
欠かせない点としては、秘境オパールの処女王ラーが登場し、ジャングルの秘境ものというその後のターザン・シリーズの方向付けをもうかがわせる。なんといっても『類猿人ターザン』とセットで連作の構成で、かつはじめてのハッピーエンドなのだから、早川書房もいつまでも絶版状態にとどめておかないで欲しい。前作のラストで気をもんだファンは渇望しているのではないか?
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