バローズが遺した宝物
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大衆作家バローズは、多くのシリーズ作品を、あらゆるジャンルでものにしました。そうした作品群をジャンル、シリーズ別に並べ直してみるのも一興ではないでしょうか?
ターザン・シリーズ(TARZAN/JUNGLE series)
ターザンといえば『ア・ア・アー』と奇声を上げて木から木へと移り歩く腰簑だけの筋肉男のイメージはないだろうか? あるとすればそれは、ヒットを重ねたハリウッド映画と、「ターザンごっこ」と呼ばれる幼児遊びの影響が強いものと思われる。原作のターザンはもっと人間くさい人物であり、その物語もまた多様なおもしろさをもっているのだということを知ってほしい。
時は19世紀末。英国貴族グレイストーク卿ジョン・クレイトンは妻とともに赴任先に赴く途中、船員たちの反乱にあい、暗黒のアフリカ大陸の片隅の未開の地に取り残される。そこで産まれた子供は、両親の死とともに一匹の雌の類人猿カラに拾われ、ターザンと名付けられて密林の中でたくましく成長していく。彼はしかし類人猿ではなかった。彼の体を流れる人間の血は、彼を両親の遺品に向かわせ、やがて両親の遺した本から言葉を覚え、人間としての成長も遂げていく。そんな彼の前に、美しい人間の娘、ジェーンがあらわれた。彼女を愛するようになったとき、ターザンは人間として育てられなかったこととのギャップに悩むことになる。
"Tarzan of the Apes",1914 A.C.McClurg
『全訳 ターザン物語〔1〕出生の巻』小山書店/西條八十:訳/1954.07.20
『ターザンの冒険』小学館/小学4年生2月特別号付録/西條八十:訳/飯塚羊令児:画/1955.02
『ターザンの生い立ち ターザン物語』河出書房/1955.09.15
『ターザン物語1 ジャングルの王者ターザン』実業之日本社/野上彰:訳/武部本一郎:画/1961.09.10
『ターザン(1)密林の王者、なぞのおいたち』講談社/塩谷太郎:訳/梁川剛一:画/1966
『ターザン物語』旺文社/中一時代1月号第3付録/塩谷太郎:訳/城取春生:表紙/小川よしくに:挿絵 /1967.01.01
『類猿人ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF101/高橋豊:訳/武部本一郎:画/1971.08.31
『ターザンのぼうけん』集英社/母と子の名作童話39/はやしたかし:文/高志孝子:画/1973.10
『密林の王者ターザン』小学館/少年少女世界の名作16・アメリカ編6/三井ふたばこ:文/中西立太:画/1974.01.25
『密林の王者ターザン』朝日ソノラマ
『ターザン』創元SF文庫 SFハ3-43/厚木淳:訳/加藤直之:画/1999.08.20
"The Return of Tarzan",1915
『全訳 ターザン物語〔2〕帰郷の巻』小山書店/西條八十:訳
『ターザン物語2 ターザンの逆襲』実業之日本社/野上彰:訳/武部本一郎:画/1961.10.10
『ターザン(2)スパイからの挑戦状!』講談社/塩谷太郎:訳/梁川剛一:画 /1966.12.20
『ターザンの復讐』ハヤカワ文庫特別版SF102/高橋豊:訳/武部本一郎:画/1971.10.31
『ターザンの帰還』創元SF文庫SF3-44/厚木淳:訳/加藤直之:画/2000.06.23
"The Beasts of Tarzan",1916
『ターザン物語3 ターザンの怒り』実業之日本社/野上彰:訳/武部本一郎:画/1961.11.10
『ターザンの凱歌』ハヤカワ文庫特別版SF103/高橋豊:訳/武部本一郎:画/1972.05.15
"The Son of Tarzan",1917
『ターザン物語4 ターザンの息子』実業之日本社/野上彰:訳/武部本一郎:画/1961.12.10
『ターザンの逆襲』ハヤカワ文庫特別版SF104/長谷川甲二:訳/加藤直之:画/1982.07.15
"Tarzan and the Jewels of Opar",1918
『ターザン物語5 ターザンとオパーの宝』実業之日本社/野上彰:訳/武部本一郎:画/1962.01.10
『ターザン(3)野生のプリンセス、ジェーン』講談社/塩谷太郎:訳/梁川剛一:画/1966.12.20
『ターザンとアトランティスの秘宝』ハヤカワ文庫特別版SF105/高橋豊:訳/武部本一郎:画/1972.01.15
"Jungle Tales of Tarzan",1919
『ターザン物語6 ジャングルの叫び』実業之日本社/野上彰:訳/武部本一郎:画/1962.02.10
『ターザンの密林物語』ハヤカワ文庫特別版SF106 /高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan the Untamed",1920
『野獣王ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF107/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan the Terrible",1921
『恐怖王ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF108/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Golden Lion",1923
『長篇怪奇冒険 人か獅子か』中學世界大正十四年
『ターザンと黄金の獅子』ハヤカワ文庫特別版SF109/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Ant Men",1924)
『ターザンと蟻人間』ハヤカワ文庫特別版SF110 /高橋豊:訳/武部本一郎:画
『ターザンの双生児』ハヤカワ文庫特別版SF111/高橋豊:訳/武部本一郎:画(20.と合本)
"Tarzan, Load of the Jungle",1928
『密林の王者ターザン ターザン物語』河出書房ロビン・ブックス27/大久保康雄:訳/武藤弘之:画/1955.11.25
"Tarzan and the Lost Empire",1929
『ターザンと失われた帝国』ハヤカワ文庫特別版SF113/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan at the Earth's Core",1930
『地底世界のターザン』ハヤカワSFシリーズ3192/佐藤高子:訳/1973.08.31
『地底世界のターザン』ハヤカワ文庫SF25/佐藤高子:訳/柳柊二:画
『ターザンの世界ペルシダー』創元推理文庫601-22/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"Tarzan the Invincible",1931
『無敵王ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF115/高橋豊:訳/武部本一郎:画
"Tarzan Triumphant",1932
『ターザンと呪われた密林』ハヤカワ文庫特別版SF125 /長谷川甲二:訳/加藤直之:画
"Tarzan and the City of Gold",1933
『ターザンと黄金都市』ハヤカワ文庫特別版SF117/矢野徹:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Lion Man",1934
『ターザンとライオン・マン』ハヤカワ文庫特別版SF118/矢野徹:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Leopard Men",1935
『ターザンと豹人間』ハヤカワ文庫特別版SF119 /長谷川甲二:訳/加藤直之:画
『ターザンの双生児』ハヤカワ文庫特別版SF111/高橋豊:訳/武部本一郎:画 (11と合本)
"Tarzan's Quest",1936
『ターザンの追跡』(未訳・仮題)
"Tarzan and the Forbidden City",1938
『ターザンと禁じられた都』ハヤカワ文庫特別版SF121/矢野徹:訳/武部本一郎:画
"Tarzan the Magnificent",1939
『ターザンと女戦士』ハヤカワ文庫特別版SF122 /長谷川甲二:訳/武部本一郎:画
"Tarzan and the Castaways",1965
『勝利者ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF116 /長谷川甲二:訳/武部本一郎:画(短編集/25,26と合本)
"Tarzan and the Castaways",1965
『勝利者ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF116 /長谷川甲二:訳/武部本一郎:画(短編集/24,26と合本)
"Tarzan and the Castaways",1965
『勝利者ターザン』ハヤカワ文庫特別版SF116 /長谷川甲二:訳/武部本一郎:画(短編集/24,25と合本)
『ターザンと外人部隊』(未訳・仮題)
『ターザンと狂人』ハヤカワ文庫特別版SF124/矢野徹:訳/武部本一郎:画
『ターザン:失われた冒険』(未訳・仮題)
シリーズ番外編
"The Eternal Lover",1925
『石器時代から来た男』創元推理文庫601-26/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『火星のプリンセス』こそ、日本におけるバローズの評価を決定づけた作品。ターザン作家ではなくSF作家として世に出した東京創元社と厚木淳氏に(そして小西宏氏に)感謝したい。と書くとターザン・ファンに怒られそうだけど、ターザン作家として浸透してしまっていたならばもっと早く絶版になっていただろうし、他の作品がどれほど紹介されたか怪しいものだと思う。野田昌宏氏による紹介も以前にあったはずだが、過去の人、歴史上の人物としての評価だったように思うし、(全巻刊行という)東京創元社の英断は貴重なエピックだった。この〈火星シリーズ〉の出版とヒットにより、20世紀初頭の時代遅れの作家と見なされていたバローズは実はまだまだ読者を引きつけ、魅させるだけの力をもった現役の作家であることを業界に認識させることになった。そして、その認識は彼に続くスペース・オペラ作家たちにも広がることになったのだった……。
南軍大尉ジョン・カーターはインディアンに追われ、アリゾナの山中で気を失う。目覚めたとき、彼は火星にいた。凶暴な緑色人、美しい赤色人、そして多くの不可思議な生物がいる火星(バルスーム)で、カーターは低重力をいかして大活躍、やがて赤色人の王国ヘリウムのプリンセス、デジャー・ソリスと恋に落ち、結ばれ、火星の大元帥を名乗るまでになる。
series list/シリーズ・リスト
"A Princess of Mars",1917
『火星のプリンセス』創元推理文庫601-1/小西宏:訳/武部本一郎:画,1965
『火星の勇士』学研 中2コース付録/内田庶:訳/岡野謙二:画,Oct.1966
『火星のジョン・カーター』岩崎書店 SF世界の名作8/亀山龍樹:訳/鈴木康行・沢田重隆:画,Dec.1966
『火星のプリンセス』角川文庫 赤-767/小笠原豊樹:訳/遠藤拓也:画,1967
『火星のプリンセス』講談社/亀山龍樹:訳/司修:画,May.1967
『火星のプリンセス』偕成社 SF(科学小説)名作シリーズ15/野田開作:訳/武部本一郎:画,Jun.1968
『火星の王女』集英社 マーガレット文庫世界の名作30
『火星の月のもとで』早川書房 世界SF全集31 世界のSF(短編集)古典篇/関口幸夫:訳
『火星のプリンセス』秋元書房ヤングシリーズ2/谷元次郎:訳/小松崎茂:画,1968
『火星のプリンセス』集英社 ジュニア版世界のSF13/内田庶:訳/金森達・岩淵慶造:画,1970
『火星の王女』岩崎書店 SFこども図書館8/亀山龍樹:訳/沢田重隆:画,Feb1976
『火星のプリンセス』秋元文庫E61/谷元次郎:訳/高井吉一・小松崎茂:画,Mar.1978
『火星のプリンセス』創元推理文庫601-1/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『火星の王女』ぎょうせい少年少女世界名作全集20/瀬川昌男:訳/伊藤展安:画
『合本・火星シリーズ1 火星のプリンセス』創元SF文庫/厚木淳:訳/武部本一郎:画.1999(2,3との合本)
『火星のプリンセス』岩崎書店 冒険ファンタジー名作選2/亀山龍樹:訳/山本貴嗣:画,Oct.2003
『火星のプリンセス』グーテンベルク21/小笠原豊樹:訳,2004
『[新版]火星のプリンセス』創元SF文庫/厚木淳:訳/岩郷重力:表紙,Mar.2012
『火星のプリンセス』小学館文庫/小笠原豊樹:訳/三浦均:画,Mar.2012
"The Gods of Mars",1918
『秘密小説火星の王子』中學世界/大正十三年三月号
『火星の女神イサス』創元推理文庫601-2/小西宏:訳/武部本一郎:画,1965
『火星の女神イサス』創元推理文庫601-2/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『火星の女神イサス』角川書店/角川文庫 赤706/小笠原豊樹:訳/遠藤拓也:画,1967
『火星の空中艦隊』講談社/塩谷太郎:訳/司修:画,May.1967
『合本・火星シリーズ1 火星のプリンセス』創元SF文庫/厚木淳:訳/武部本一郎:画,1999(1,3との合本)
『火星の女神イサス』グーテンベルク21/小笠原豊樹:訳,2004
『火星の女神イサス』小学館文庫/小笠原豊樹:訳/三浦均:画,Apr.2012
"The Warlord of Mars",1919
『火星の大元帥カーター』創元推理文庫601-3/小西宏:訳/武部本一郎:画,1966
『火星の大将軍』講談社/矢野徹:訳/司修:画,1967
『火星の大元帥カーター』角川文庫/小笠原豊樹:訳/遠藤拓也:画,1968
『火星の大元帥カーター』創元推理文庫601-3/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『合本・火星シリーズ1 火星のプリンセス』創元SF文庫/厚木淳:訳/武部本一郎:画,1999(1,2との合本)
『火星の大元帥カーター』グーテンベルク21/小笠原豊樹:訳,2004
『火星の大元帥カーター』小学館文庫/小笠原豊樹:訳/三浦均:画,May.2012
"Thuvia,Maid of Mars",1920
『火星の幻兵団』創元推理文庫601-4/小西宏:訳/武部本一郎:画,1966
『火星のまぼろし兵団』講談社,1967/福島正実:訳/司修:画,1967
『火星の幻兵団』創元推理文庫601-4/厚木淳:訳/武部本一郎:画.1971
『火星のまぼろし兵団』鶴書房SFベストセラーズ/福島正実:訳/柳柊二:画,1975
『合本・火星シリーズ2 火星の幻兵団』創元SF文庫SFハ-3-40/厚木淳:訳/武部本一郎:画,1999(1,2との合本)
"The Chessmen of Mars",1922
『火星のチェス人間』創元推理文庫601-5/小西宏:訳/武部本一郎:画,1966
『火星のチェス人間』創元推理文庫601-5/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『火星のくも人間』講談社/都筑道夫:訳/司修:画,1967
『合本・火星シリーズ2 火星の幻兵団』創元SF文庫SFハ-3-40/厚木淳:訳/武部本一郎:画,1999(1,2との合本)
"The Master Mind of Mars",1928
『火星の交換頭脳』創元推理文庫601-6/小西宏:訳/武部本一郎:画
『火星の交換頭脳』創元推理文庫601-6/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『火星の頭脳交換』講談社/中尾明:訳/司修:画,1967
『合本版・火星シリーズ第2集 火星の幻兵団』創元SF文庫SFハ-3-40/厚木淳:訳/武部本一郎:画,1999(4.5との合本)
"A Fighting Man of Mars",1931
『火星の秘密兵器』創元推理文庫601-7/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『火星の秘密兵器』講談社/北川幸比古:訳/司修:画,1967
『合本版・火星シリーズ第3集 火星の秘密兵器』創元SF文庫SFハ-3-41/厚木淳:訳/武部本一郎:画,2001(8,9との合本)
"Swords of Mars",1936
『火星の透明人間』創元推理文庫601-8/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『火星の秘密暗殺団』講談社/野田昌宏:訳/司修:画,1967
『合本版・火星シリーズ第3集 火星の秘密兵器』創元SF文庫SFハ-3-41/厚木淳:訳/武部本一郎:画,2001(8,9との合本)
"Synthetic Men of Mars",1939/1940
『火星の合成人間』講談社,1967/南山宏:訳/司修:画,1967.7
『火星の合成人間』創元推理文庫601-9/厚木淳:訳/武部本一郎:画,1968.5
『火星の合成人間』鶴書房SFベストセラーズ/南山宏:訳/武部本一郎:画,1975
『合本版・火星シリーズ第3集 火星の秘密兵器』創元SF文庫SFハ-3-41/厚木淳:訳/武部本一郎:画,2001(8,9との合本)
"John Carter of Mars",1964(12と合本)
『火星の巨人ジョーグ』創元推理文庫601-11/厚木淳:訳/武部本一郎:画(12との合本)
『合本版・火星シリーズ第4集 火星の古代帝国』創元SF文庫SFハ-3-42/厚木淳:訳/武部本一郎:画,2002(11,12,『モンスター13号』との合本)
"Llana of Gathol",1948
『火星の古代帝国』創元推理文庫601-10/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『火星の地底王国』講談社/内田庶:訳/司修:画,1967
『合本版・火星シリーズ第4集 火星の古代帝国』創元SF文庫SFハ-3-42/厚木淳:訳/武部本一郎:画,2002(10,12,『モンスター13号』との合本)
"John Carter of Mars",1964(10と合本)
『火星の巨人ジョーグ』創元推理文庫601-11/厚木淳:訳/武部本一郎:画(10との合本)
『合本版・火星シリーズ第4集 火星の古代帝国』創元SF文庫SFハ-3-42/厚木淳:訳/武部本一郎:画,2002(10,11,『モンスター13号』との合本)
私的な話になるが、私が最初に読んだERBは野田昌宏訳の『地底世界ペルシダー』(あかね書房版)だった。それからハヤカワ文庫SF版を読み、太古世界シリーズから創元推理文庫へと進んだのだった。それだけ、当時中学生だった私を夢中にさせた地底世界シリーズなので、ぜひとも読んで欲しいという気はする。火星シリーズほどファンタジーではなく、秘境冒険小説としても読めるので、初心者にはいいかもしれない。もちろん、面白いことは保証する!
青年実業家デイヴィッド・イネスと発明家アブナー・ペリー老人は地底モグラで地底探検に出かけるが、地核を抜けてでた先は恐竜が跋扈する古代世界だった。地球内部は空洞で、そこには太古からの生命が絶滅することなく生きながらえていたのだ! しかもその地底世界の支配者は翼竜のマハール族で、人類は彼らの食料でしかなかった。デイヴィッドは翼竜が支配する時間のない世界で、原始人の美女ダイアンと恋に落ち、やがて地底世界ペルシダー帝国の皇帝として、文明を武器に翼竜マハール族を打ち倒し、地底世界に平和をもたらすべく闘いを開始するが……。
"At the Earth's Core",1922
『地底世界ペルシダー』ハヤカワSFシリーズ3120/佐藤高子:訳/中島靖侃:画.1966
『地底王国ペルシダ』学習研究社/中学一年コース9月号第5付録/福島正実:文/上泉秀俊、岡野謙二:画/福島正実:解説 ,1966.9.1
『地底恐竜テロドン』偕成社/久米元一:訳/武部本一郎:画,1967
『空とぶ怪じゅう』偕成社/名作アニメート 17/久米 穣:訳/赤坂三好:画,1969
『地底王国ペルシダ』中学一年コース12月号第4付録/福島正実:文/柳柊二:画,1970
『地底世界ペルシダー』ハヤカワ文庫SF16/佐藤高子:訳/柳柊二:画,1971
『地底世界ペルシダー』あかね書房/少年少女世界SF文学全集7/野田昌宏:訳/上矢津:画,1971
『地底の世界ペルシダー』創元推理文庫601-19/厚木淳:訳/武部本一郎:画,1973
『地底人間 秘密の怪獣境』秋田書店,1975
『ペルシダ王国の恐怖』国土社少年SF・ミステリー文庫8/福島正実:訳/山本輝也:画,1983
『ペルシダ王国の恐怖』国土社海外SFミステリー傑作選/福島正実:訳/山本輝也:画,1995.11
"Pellucidar",1923
『危機のペルシダー』ハヤカワSFシリーズ/佐藤高子:訳/中島靖侃:画
『危機のペルシダー』ハヤカワ文庫SF19/佐藤高子:訳/柳柊二:画
『翼竜の世界ペルシダー』創元推理文庫601-20/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"Tanar of Pellucidar",1929
『戦乱のペルシダー』ハヤカワSFシリーズ3158/佐藤高子:訳/
『戦乱のペルシダー』ハヤカワ文庫SF22/佐藤高子:訳/柳柊二:画
『海賊の世界ペルシダー』創元推理文庫601-21/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"Tarzan at the Earth's Core",1930
『地底世界のターザン』ハヤカワSFシリーズ3192/佐藤高子:訳/中島靖侃:画
『地底世界のターザン』ハヤカワ文庫SF25/佐藤高子:訳/柳柊二:画
『ターザンの世界ペルシダー』創元推理文庫601-22/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"Back to the Stone Age",1937
『栄光のペルシダー』ハヤカワ文庫SF35/関口幸男:訳/柳柊二:画
『石器の世界ペルシダー』創元推理文庫601-23/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"Land of Terror",1944
『恐怖のペルシダー』ハヤカワ文庫SF37/関口幸男:訳/柳柊二:画
『恐怖の世界ペルシダー』創元推理文庫601-24/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"Savage Pellucidar",1963
『ペルシダーに還る』ハヤカワSFシリーズ3244/佐藤高子:訳/中島靖侃:画
『ペルシダーに還る』ハヤカワ文庫SF48/佐藤高子:訳/柳柊二:画
『美女の世界ペルシダー』創元推理文庫601-25/厚木淳:訳/武部本一郎:画Apr.1977
〈火星シリーズ〉との関連でにたようなものと思ってこの〈金星シリーズ〉を手に取ると、びっくりすることになる。バローズ後期の作品だけに、一筋縄ではいかない工夫がたくさんひそんだ構成になっているからだ。
厖大な遺産を相続した冒険好きな青年カースン・ネーピアはジョン・カーターにあこがれて宇宙船を駆って火星を目指すが、月の重力を計算に入れておらず、軌道が変わって金星に漂着してしまう。アムターと呼ばれる金星は厚い雲の下、怪獣が跋扈する別世界で、ネーピアは革命闘争に巻き込まれ、王女ドゥーアーレーを救う冒険にでることになる。
『金星の海賊』厚木淳:訳/武部本一郎:画、創元推理文庫601-12
『金星の大海賊』永井淳:訳/遠藤拓也:画、角川文庫 赤706-4
『金星の死者の国』厚木淳:訳/武部本一郎:画、創元推理文庫601-13
『金星の死者の国』永井淳:訳/遠藤拓也:画、角川文庫 赤706-5
『金星の独裁者』厚木淳:訳/武部本一郎:画、創元推理文庫601-14
『金星の火の女神』厚木淳:訳/武部本一郎:画、創元推理文庫601-15
Tales of Three Planets,1964
『金星の魔法使』厚木淳:訳/武部本一郎:画、創元推理文庫601-16(短編集)
バローズを、単なる大衆向け娯楽作家にすぎないと評価するSFファンがもしいたら、読んでみてほしい作品が2つある。ひとつはこの『時間に忘れられた国』(早川書房版では〈太古世界シリーズ〉)、そしてもうひとつは〈月シリーズ〉。むろん僕は、大衆作家としてのバローズこそが好きなのだが。
潜水艦が漂着した南海の孤島キャスパックは、恐竜、猿人、原人が共存するロスト・ワールドだった。しかしそれだけではない秘密がその島にはあった。その島の生命は、個人史の中で生物進化を再現する生命だったのだ! 人間の次は、いったいなにに進化するというのか?
バローズはまごうことなきSF作家であったということを明確に示せる作品。バローズが壮大な未来詩を書いていたといったら驚くだろうか?
ジュリアン一族と月人たちの逃走の歴史を描くシリーズ。火星を目指した宇宙船は月に不時着、その地底に広がる世界へと迷い込む。やがて、月人は地球に攻め込み、占領。多くの地球人は奴隷の身分に落ちるが、レジスタンス軍の奮闘により、やがて平和は取り戻される。数百年にわたる歴史は、時に軽快で、時に重く、まためくるめくものでもある。
異世界冒険物語、社会闘争物語、未来冒険ウェスタンと、バラエティ豊かにバローズの世界が繰り広げられるこのシリーズは、バローズの作品として、またSF としてベストの評価を得ている傑作。バローズファンならずとも、必読の書。
ロストワールドもの、人造人間もの、未来社会シミュレーションものと、ジャンルだけを並べればH・G・ウェルズを思わせる構成。空想冒険作家だけにシリーズ展開されることが多いので、単独作品は少ない。パルプフィクション時代に全盛期を送った作家の哀しい性とでもいおうか。
"The Monster Men",1929
『モンスター・マン』ハヤカワ文庫SF92/関口幸男:訳/斉藤寿夫:画
『モンスター13号』創元推理文庫601-30/厚木淳:訳/武部本一郎:画
『合本版・火星シリーズ第4集 火星の古代帝国』創元SF文庫SFハ-3-42/厚木淳:訳/武部本一郎:画,2002
"The Eternal Lover",1925
『石器時代から来た男』創元推理文庫601-26/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"Beyond Thirty and The Man Eater",1957(2編収録)
"Tales of Three Planets",1964
『金星の魔法使』創元推理文庫601-16/厚木淳:訳/武部本一郎:画(短編集)
"Tales of Three Planets",1964
『金星の魔法使』創元推理文庫601-16/厚木淳:訳/武部本一郎:画(短編集)
日本ではSF作家として知られることになったために邦訳がおくれたシリーズ。邦訳以前の唯一の情報であった各書籍における野田昌宏氏の解説文から読みとれる評価は低いものだったので、作品としては期待していなかったのだが、実際に読んでみた感想としてはまあ楽しめるかな? というできになっている。
シカゴのならず者ビリー・バーンは南海の孤島で美女をめぐってサムライの末裔たちとチャンチャンバラバラ。シカゴに帰ってもビリーの大暴れは続く。
秘境冒険小説、ヨーロッパの小国を舞台にした冒険物語、少年の成長物語、歴史小説と千差万別なその他小説群。単純に面白いけど、バローズファンになるなら、まずターザンや他のシリーズものから入ってほしいという気がします。
"The Cave Girl",1925
『石器時代へ行った男』創元推理文庫601-27/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"The Mad King",1926
『ルータ王国の危機』創元推理文庫601-35/厚木淳:訳/加藤直之:画
"Beyond Thirty and The Man Eater",1957(2編収録)
"The Lad and the Lion,1938"
『砂漠のプリンス』創元推理文庫601-34/厚木淳:訳/斉藤寿夫:画
"The Oakdale Affair and the Rider",1937
The Oakdale Affair and the Rider,1937
"Jungle Girl",1932
『密林の謎の王国』創元推理文庫601-31/厚木淳:訳/武部本一郎:画
"The Wizard of Venus and Pirate Blood",1970(2編収録)
日本に紹介された最後のバローズということになりそう。書誌的には特記することもないが、残念だ、とだけコメントしておく。表紙のセンスはデザイナーを使っていることもあってあか抜けてはいるが、創元らしさに欠ける感がある、とは言い過ぎか。売れ行きをのばすための方策でもあり、ファッション性が本にも求められる時代とあっては仕方ない話かもしれない。
ショッディジージの物語を読む限りでは、バローズのウェスタンは歴史小説、時代小説という感じがする。僕のイメージするウェスタンはたとえばジョン・ウェインであり、クリント・イーストウッドであり、「荒野の少年イサム」であるわけで、その辺、ギャップがある。まあ日本の時代劇、チャンバラ小説も欧米人からみればそんな感じなのだろうから人のことはいえないが、できれば他の作品も読んで確認してみたい気はする。バローズの作品は、もっと豊かなものだと思えるから。
バローズは歴史小説に魅力を感じていたらしく、最初期と最後期にそれぞれ書いている点が注目。
バローズの普通小説はまったく翻訳されていない(マッカー・シリーズはのぞく)。本国での評価も低いようなので、やむを得ないとは思うが、怖いもの見たさで読んでみたい気も少しは? しないでもない。ハヤカワSF文庫「時に忘れられた世界」に野田昌宏氏が解説しているのがわずかに資料といえるのだろうか。しかし、けっこう書いているもんだ。